(写真)各園で実施したプロジェクトをまとめた冊子。こどもたちの作品や写真、言葉がさまざまな形態で収められている。
こどもたちを尊重し主人公にした結果のアート!
レッジョ・エミリア・アプローチというと、なんとなく「アートを中心に置いた教育」というイメージがあるかもしれません。園の中に「アトリエ」があり、芸術領域の専門家「アトリエリスタ」がいる。大きな紙や布にのびのびとした線、カラフルな色彩。 確かにレッジョに関する本を開くとそういった写真が多く、わたしが見学した幼児学校でもそのような光景をたびたび目にしました。しかし、それはあくまで結果。 こどもたちにとって一番重要なのは楽しさ!その楽しさから、何かに興味を持って探求がはじまり、学びが生まれます。
乳幼児保育所や幼児学校はどんなところ?
こどもは一人一人違い、何に興味を持つかわかりません。 現場はとにかくたくさんのモノで溢れかえっていました。おとなのわたしも「ここで遊びたい〜!」と叫びたくなるような、わくわく空間。その中でこどもたちは、思い思いに描いたり、何かを着て変身したり、とめどなく喋ったり、ウェブカムで小さな植物を観察したり、何人かで数字のゲームをしたり、レゴをしたり・・・と、自分なりの探求にじっくりと励んでいるのでした。
“学ぶこと=喜び(快感)” の回路をつくる
徹底的にこどもを尊重し主人公としたとき、絵を描くことや物語をつくること、何かを演じること、踊ること歌うこと、そういったいわゆる「アート」こそがこどもたちが最も得意とすることであり、その中で“学ぶこと=喜び(快感)”の回路をつくってしまうことがとっても重要なのだと言います。 こどもたちは幼児期に多様な経験をし、そして自信を持って社会に出て行きます。
では実際、そのような幼児期を過ごしたことがどんな影響を及ぼすのか?次回はレッジョ教育を受けた女の子の話をお届けします。
「こども」をめぐり国内外を “隙あらば旅” するフィールドワーカー。一児の母。2012年の出産を機に「こども」の世界にシフト。レッジョ・エミリアやポートランド、ベルリンの教育機関や施設・公園・プロジェクト等を体験視察。かれこれ約15年、チンドン屋としても活動。こどもとともに町をにぎやかすパレード型ワークショップもおこなう。