「本屋に寄ってた」は伏線だった?
私はいつものように、彼が車で迎えに来てくれるのを待っていました。当時、神奈川(私)と埼玉(彼)で遠距離恋愛をしていた私たち。
この日は仕事で東京に出ていた私を、彼が車で拾って家まで送ってくれることになっていました。待ち合わせ場所に到着した彼は私が車に乗るなり、こう言いました。「本屋に寄ってたからちょっと遅くなっちゃった。ごめんね」私は気にせず、全然待ってないから大丈夫と答えました。
いつも通り他愛のない会話をしながらも、帰りの時間はあっという間で、すぐに家に着いてしまいました。名残惜しい気持ちを背に、車のドアを開けて外に出ようとすると、なぜか彼が私を引き留めたのです。
いつも通りバイバイかと思いきや
「どうしたの?」と聞く私。最初は、彼もバイバイするのが寂しいのかと思いましが、どうやら違うみたいだと空気で察しました。何が起こるのかと思っていると、彼が「さっき買ってきた本を見てくれない?」と口にしました。
正直意味がわかりませんでしたが、言われるままに後部座席から本が入っている袋を取りだすと、中には1冊の絵本と平べったい箱が入っていました。絵本は『ぐりとぐら』。これなつかしいね、と話しかけるものの、彼の反応は薄く……。
見てほしいのはこっちじゃないのかと思いながら、平べったい箱のほうを開けると、『世界でたったひとりの貴女に』と書かれたかわいい絵本が入っていました。「それ読んで」と彼が言うので、絵本を開くと……。
号泣する私に彼がかけた言葉とは
絵本を読み進めていくたびに、私は涙があふれだしました。そこに書かれていたのは、私たちの今までの思い出を絵にしたもの。
水族館や遊園地に行ったときの絵を見て、なつかしさと楽しさとうれしさがこみあげてきて……。そして最後のページをめくると、プロポーズの言葉が書いてありました。
生まれて初めてのプロポーズに戸惑いを隠せず、涙でぐしゃぐしゃになりながら彼のほうを見ると、「幸せにするから、一生一緒にいよう」という言葉が。その言葉に私はまた涙がこぼれました。
私は幸せをかみしめて、鼻声のまま、「はい」とうなずきました。
これが、私が受けたロマンチックなプロポーズです。
まさか、彼がシナリオを書いた絵本でプロポーズされるとは思っていませんでした。絵は彼が依頼して、絵本作家さんに描いてもらったそうです。もともとクリスマスにバラの花をくれるなどロマンチストな彼ですが、あれほど「なかなかロマンチックだなあ」と思ったものはありません。本当にいい思い出です。
ちなみにプロポーズに使われた絵本は、家の押し入れに大事にしまってあります。今でもたまに読み返してにやにやしていることは、彼には内緒です。
著者/ちばみお
作画/今井美保
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