普通のことだと思っていたけれど…
母子家庭だった体験者さんは、弟の面倒を自分が見ることは普通だと思っていました。むしろ、お母さんの役に立つのが嬉しくて張り切っていたと言います。
しかし、小学校高学年になると、次第に自分だけにある制限に苦痛を感じ始めましたー。
忘れられないのは、楽しみにしていた小学6年生のときの修学旅行を、お母さんが行かせてくれなかったこと。理由は弟の面倒をみるためでした……。
修学旅行に行けるよう、担任の先生がお母さんに電話でかけあってくれたものの、お母さんが受け入れることはありませんでした。
「ごめんね…。力になれなくて本当にごめんね……。」
泣きながら謝る先生。
その姿を見て、お母さんの対応が普通ではないことに子どもながらに感じ、体験者さんの心に深く刻まれたのでしょう。大人になった今でも思い出すと苦しくなってしまうそうです……。
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子どもが家事や家族のお世話をすることは、当たり前と感じる方もいるかもしれません。しかし、子どもが本来過ごせるはずの勉強する時間、友だちと過ごす時間と引き換えにおこない、学校生活に影響がでる場合は、すこし注意が必要だと厚生労働省は呼びかけています。子どもが子どもでいられる社会になるよう、気が付いたら手を差し伸べられるよう、大人の一人ひとりが意識することが大切なのかもしれません。