生理や産前産後、更年期の症状など女性の健康課題をテクノロジーで解決するFemtech(フェムテック)。
ムーンカレンダーの記事でもこれまでいくつかの海外のフェムテックアイテムをご紹介してきましたが、2022年6月1日に日本のフェムテックプラットフォーム・fermataのシンガポール支社・fermata Singapore主催の「Femtech Fes!」という展示会が開催されました。
Femtech Fes!では、世界16カ国から50以上のアイテムがシンガポールに集結。今回の記事では、実際に展示会に訪れた筆者が展示されたアイテムの中から気になった製品をご紹介します。
まずはムーンカレンダーのテーマでもある「生理」に関する課題を解決するアイテム3つのご紹介です。
神経に刺激を与え、生理痛を和らげるデバイス「Noha」
今回筆者が最も気になったアイテムが、神経に刺激を与えることで、脳に伝わる痛みの信号をブロックし、生理痛を和らげるオーストラリア発のデバイス「Noha」(写真中央)。
使い方はシンプルで、2枚のパッドをお腹か背中に貼り、本体のスイッチをオンにするだけ。すると生理の痛みを脳に伝達する信号を止める微弱電流が流れ、脳が痛みを認知しにくくなる、という仕組みです。
「Noha」を開発するOvira社の創業者・Alice自身が生理痛に何年間も悩まされてきた経験から、生理痛は期間中のみにとどまらず、期間外の学校生活や職場での人間関係や自分への自信にも影響を及ぼすと考え、デバイスを開発するに至ったそうです。
「生理痛は我慢しなければならないもの」という思い込みを根本から解決しようとする画期的なフェムテックアイテムです。
薬の飲み忘れを防止!スマートリマインダー「Popit Sense」
薬のシートに取り付けるクリップ状のデバイスと専用アプリを連動させて、毎日の薬の服用をサポートするスマートリマインダーがフィンランド発の「Popit Sense」です。
薬をシートから取り出す際の音と振動をデバイスが感知することで服薬状況を記録し、飲み忘れてしまった場合のみアプリからスマートフォンに通知がいくという仕組みになっています。
生理痛の軽減や不妊治療のために毎日決まった時間に薬を飲まなければいけない場合に、指定した時間に通知が来るアプリは既にいくつかありますが、このアイテムはシートにデバイスを取り付けることで、実際の薬の服用状況を感知できる点がおもしろいと感じました。
毎日アラートが来るとついつい通知を見逃してしまいがちなこの手のアプリ。「飲み忘れた場合にのみ」通知が来ることがうれしいポイントです。
開発チームが行った臨床実験では、なんと80%以上の飲み忘れを減らすことができたと証明されたそう!Popit Senseは日本では既にfermataで発売中です。
おしゃれなデザインのタンポン+パンティライナー「Tampliner」
タンポンとパンティライナーがセットになった、ありそうでなかった一つ二役の生理用品がイギリス発の「Tampliner」です。
タンポンだけでは漏れが不安……という日に安心感を確保しながら、ナプキンのかさばった感触やヨレが気になるという方の不安を取り除く一体構造となっています。タンポンやライナー自体はそれほど大きくはないので、経血量が少なくなってきたタイミングでアクティブに動きたい!という日にぴったりだと感じました。
機能性だけでなく、従来の生理用品にはなかったおしゃれなパッケージも印象的な「Tampliner」ですが、その理由はファッション業界で10年以上の経験を持つ人物が共同設立者にいるということで納得!常にポーチに入れておきたいアイテムです。
そのほか、日本でもおなじみのアイテムとなりつつある吸水ショーツや月経カップなども所狭しと展示されていました。生理中も気分が上がりそうな色とりどりのアイテムが並ぶ光景は、ドラッグストアの奥の方でひっそりと陳列されている様子とはまるで別世界のようにも感じられます。
生理以外の女性の健康課題を解決する、こんなアイテムも!
Femtech Fes!では、生理に関するアイテム以外にも、更年期、不妊・妊活、妊娠・産後、セクシャルウェルネス、健康全般などにアプローチするアイテムが並びました。
生理以外のジャンルで特に筆者が気になった製品は以下の2つです。
ハンズフリーで搾乳ができる母乳育児用マッサージブラ「Lilu」
アメリカ発の母乳マッサージ機能付き搾乳ブラ「Lilu」。ブラジャーを装着し、前の穴に電動搾乳器を挿入して電源を入れればハンズフリーで搾乳ができるというアイテムです。
何かと時間が取られる搾乳ですが、Liluを使えば他の作業をしながら効率的に搾乳が可能!仕事や家事のバランスを取りながら母乳育児を続けたいママたちにぴったりです。
ただ搾乳をハンズフリーで効率的に行えるだけでなく、プロの母乳マッサージの動きを再現した全自動マッサージ機能もついているため、リラックスした気持ちで搾乳できるのもうれしいポイントです。
(日本ではfermataで近日発売開始)
更年期のほてりの症状を軽減するためのウェアラブルデバイス
更年期の症状としてよく挙げられる「ほてり(ホットフラッシュ)」。その症状を和らげるデバイスがマウスのような形の「menopod」(写真左)と、ブレスレット型のウェアラブルデバイス「Embr Wave2」(写真右)です。
マウス型の「menopod」は冷却機能がついており、ほてりや急な発汗を感じたら首筋に当てて冷やし、ホットフラッシュを抑えるという製品。筆者も実際に試してみましたが、電源を入れると裏側の金属の部分が瞬時に冷却され、首筋に当てるとひんやりとした感触でとても気持ち良い!特許技術により、数秒で5℃まで冷却されるとのことです。
持ち運びも可能なサイズでUSB充電もできるため、どこでも使用できるのが便利だなと感じました。
女性の悩みを自己犠牲やタブーで終わらせずにオープンにする重要性
今回の展示会で世界各国から集まったフェムテック製品を目の当たりにし、まず筆者が感じたことは「自分の悩みは、世界の女性たちに共通する悩みだったのか!」ということです。
私自身、生理痛は我慢しなければならない、毎日同じ時間に飲まなければいけない薬を忘れてしまうのは自己管理がなってないせい……と思い込んでいた節もありましたが、今回集まったアイテムは、そうした自己犠牲や身体の悩みを公に語ってはならない、というタブーを打ち破った末に生まれたものばかり。タブーをタブーで終わらせないことが、一歩進んだ未来を創って行くということを実感しました。
Femtech Fes!は2022年10月14日〜16日にも東京・六本木にて開催されるとのこと(詳細はこちら)。今後ますます盛り上がりが期待されるフェムテックから、目が離せません!