仕事で着ている鎧を脱がせてくれる
夫の仕事は農業で、私も結婚前と結婚後合わせて2年ほどは農業を手伝っていました。しかし、自分の体に合わなかったのか体調を崩すことも多く……。仕事も家事もできず寝込むことも多くなり、自分を責める日々。農業の仕事をしなくなってから体調を崩さなくなりましたが、仕事を手伝うことができず夫に負担をかけてしまっているのでは、と思っていました。
夫の農業を手伝うことができず、負い目を感じていた私。そんな私に対して、夫は「結婚してよかった」と言ってくれるのです。そこで私は、夫に「私と結婚してよかったと思う理由は？」と聞いてみました。すると、3つの理由を即答してくれたのです。
1つめは、夫にとって私が「仕事で着ている鎧を脱がせてくれる」存在であるということ。家に帰ってきたあとも農機具についての調べ物など、パソコンに向かって仕事をしていることが多い夫。熱心に仕事をしている……かと思えば、私に近づいてきて急に甘え始めることも。夫が言うには、「家に帰ってくると癒されて疲れが飛んでいく」とのことです。
私は常々、夫が帰ってきてホッとする家庭にしたいと思っています。そのため、夫からの言葉はうれしかったですし、癒せているならよかったと安心しました。
帰宅したら温かい夕食が食卓に
2つ目は、食事のこと。夫は独身時代にひとり暮らし経験が長かったからか、帰宅したときに食卓に温かい夕食が並んでいることに感動を覚えるそうです。毎回「味付けもちょうどいい！ おいしい」と言って完食してくれます。
私の仕事が忙しく、食事をつくるのが遅くなった日など、時短のため、すき焼きのたれを使って親子丼をつくったり、出来合いの天ぷらを使って天ぷらうどんをつくったりすることがあります。夫はそんな時短料理にも文句を言わず、感謝してくれるのでありがたいです。
「帰宅したら食卓に温かい夕食が並ぶ」のが、結婚してよかった理由の2つめだと自信満々に語ってくれました。
お菓子をつくってくれる
夫が語る、私と結婚してよかった理由の3つめは、「お菓子をつくってくれるから」だそうです。私は夫と結婚してからお菓子づくりが趣味になりました。私としては自分の趣味を満喫しているだけだったのですが、夫は「料理だけではなく、おやつもつくってくれることに感動した」と喜んでくれたのです。
こう言われたとき、「私の趣味は、一番身近な人を幸せにできる趣味なんだな」と思い、うれしかったのを覚えています。
以前、私がいちごのショートケーキを食べたくなって、いちごを栽培している夫に「いちごを持って帰ってきて」とお願い。夫が育てたいちごを使って、5号サイズのショートケーキをつくりました。5号サイズは2人で食べるには多少大きかったものの、夫は「おいしい」と喜んでバクバク食べてくれました。
結婚当初は、農業という仕事が体に合わず、体調を崩して寝込んでばかりいた私。農業を退いてからも、夫婦で農業を営んでいる友だちが、夫を支えるかたちで農業を手伝っていたので、私は引け目を感じていました。
「私じゃない人と結婚したら、夫はもっと幸せだったかも」なんて考え、妻としての自信をなくしてしまうことも。だからこそ、「結婚してよかった」という言葉を夫の口から聞いたとき、うれしくて泣きそうになりました。しかも、結婚してよかった理由を聞くと、上記3つを即答してくれたのです。
寝込んでばかりいたころの自分が、救われた瞬間でした。これからも、夫への思いはそのままに、仕事を頑張ってくれる夫が、帰宅したときにホッとできるような家庭をつくりたいと思っています。
著者／マツノミユ
イラスト／sawawa
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