事情を知らない母は「どうせ雪穂が悪いんでしょ」と決めつけて話したが、夫は「全部俺のせいなんです」ときっぱり否定した。
小さいころから母に人前で誹謗され続け、少しずつ傷ついた。本当に自分が「出来の悪い子」だと思うようになり、自分に自信が持てなかった雪穂。
結婚前の彼は、「もし今後、お母さんが俺にもそういうことを言ってきたら、はっきりと否定するよ!」と言ってくれた。
約束を守ってくれた……やさしかった昔の夫を思い出した雪穂。でも、これまでのひどい夫の言動が頭をよぎって……。
妊娠してから別人のようになった夫…ずっと悲しかった
そうだった……ずっとずっと自分に自信がなかった私が自分を好きになれたのは、彼のおかげだった。
「可愛くない」「愛嬌がない」「根性がない」
小さいころからそう言われ続けて、すり減ってしまった心を満たしてくれた。
今まで否定されてきた自分にとって、彼がストレートに褒めてくれる言葉が恥ずかしくて、むず痒くて、嬉しかった。
でも、妊娠してからのカズ君は……。これまで何度伝えても、お願いしても、ダメだった。ひたすら孤独で、悲しかった。
そんな彼をまた信じてもいいの?
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