妻とちゃんと話せないまま、翌日会社へ向かった夫は、明日代休を取り、妻と話し合うと心に決めた。
よく相談に乗ってもらっていたやさしい上司、温田さんと廊下で会い、「育休を取らせていただけませんか!?」と頭を下げた。
これまで自分のことしか考えていなかったこと、体裁ばかり気にして妻や娘のことを考えていなかったこと、その後悔を吐露した夫。
「もう一度、家族と向き合うためのチャンスが欲しいんです!」
子どもが誕生してから1年以上経っての育休申請……上司の答えは?
「取ればいい」あっさり承諾も、思わぬ指摘が……
「うん、取ればいいじゃないか」
「えっ……いいんですか?」
あっけらかんと育休を承認する上司に拍子抜けし、思わず聞き返した夫。
「お前が休まなかったのだって冷田の圧力があったからだろ。抗えなかったのは無理もないと思うよ」
飲み会や休日のイベントでの態度を重視し、女は家で家事育児をして、夫を支えることに徹するべきだ、という考えだった元上司・冷田。部長宅で失敗した翌日、リーダーから降格させられたこともあった。そんな彼のせいで育休が取れなかったこと、温田さんはわかってくれていた。
「ずっと気にかけてはいたんだ。冷田とつるむようになってから、ちょっと変わったから」
思いがけない上司の言葉にハッとした。上司や同僚が気にかけていたこととは……?
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