夫は、「大丈夫だから」と気丈に言う妻の言葉を聞き、「このまま何もしないなんて絶対ダメだ。俺も雪穂と結のところへ行こう!」と決意。
避難生活で必要な物を調べて買い出しをしたあと、義実家近くにある叔父さんの家に避難させてもらいたいと相談し、快諾を得た。
そして、妻子の待つ被災地へ向かうためにレンタカーを借りようと手続きをしているところに、慌てた様子の男がお店に入ってきた。夫が借りようとしている車が最後の一台だと聞き、バッとこちらを振り向き大声で叫んだ。
「あの! 僕に譲ってくれませんか!?」
この有事に、やっと借りられる最後の一台のレンタカー。ぶしつけにその車を譲ってほしいと言う男。でも男が必死なのにはある理由があって……。
「妊娠中の妻が被災した」慌てる男性を放ってはおけず…
「無理なお願いだとわかっています! でも、妊娠中の妻が被災してしまったんです!」
この男性も夫と同じように、離れていた妻が被災してしまったという。
自分だって、妻子のもとに一刻も早く行きたい。でも、「早く迎えに行って安全な所に連れていってあげたい」という同じ思いを聞き、そのまま放ってはおけなかった。
夫は男性の奥さんがいる場所と、雪穂と結がいる場所が同じだと確認すると、
「俺の妻と娘もそこにいるんです。一緒に家族を迎えにいきましょう!」
そう言って、この男性とともに家族のもとへ向かうことにした。
ちなきちさんの最新投稿は、SNSやブログから更新されています。ぜひチェックしてみてくださいね。