原さんが見てきた世界のリアルは、普段日本で暮らしている私たちにとって衝撃的なものばかり。それと同時に考えさせられることが多くあります。今回は、51万回再生(記事公開時)されている「アフリカの生理事情」についての動画をご紹介。原さんがアフリカのウガンダ共和国に滞在し、現地で見た「生理と貧困」問題について語ります。
使い捨てナプキンは高級品
日本に住んでいる私たちからすると、「生理」でつらいことといえば生理痛やPMS(月経前症候群)などが挙げられることが多いかと思いますが、原さんによると、アフリカの女性にとって生理での一番の問題は、経済的な問題で生理用品が購入できないことなのだそうです。
ウガンダで購入できる一般的な使い捨てナプキンは、日本円で1パッケージ500円~600円ほど。1回の生理で1パッケージ使うと考えると月に500〜600円程度はかかることになります。
値段だけで比較すると、日本と同じ程度の価格で高すぎるという印象はありません。しかし、原さんが言うには、ウガンダの平均月収は日本円で約11,000円。国民の41%が1日200円以下で生活をする「絶対的貧困」層にあたると言います。そのため、現地の生活水準から考えると、使い捨てナプキンは高級品として捉えられているのだそうです。
また、原さんが取材したウガンダ北東部の農村地域では、そもそも使い捨てナプキンが売っているお店がないということも。
こうした理由から、貧困層の女性たちは生理がきても、使い捨てナプキンを使用することができずにいるのだそうです。
生理のときはどうしているの?
それでは、現地の女性たちは生理期間をどう過ごしているのでしょうか。原さんが、現地の女性に話を聞きます。
女性によると、「古着を下着の中に入れたり、マットレスの切れ端を使ったりしていました」とのこと。ナプキンの変わりに何か布をあてがって、経血をしのいでいるということですね。
また、木の枝や葉っぱなどを集め、それをお股にあてがうこともあるとのことで、驚きです。
しかし、不衛生なものをあてがうことで感染症への危険があるほか、古着や切れ端などのボロ布では経血を受け止めきることはできません。原さん曰く、経血モレや経血モレによって服が汚れてしまうことが恥ずかしく、「生理になると学校に行けず、1日中家にこもっている」という女性もいるそうなのです。
生理期間に学校を休まざるをえなくなり、授業についていけず十分な教育を受けることができないまま学校をやめてしまう女性も。すると、安定した収入を得られる職業に就くことも難しくなり、貧困から抜け出せない……という「貧困の連鎖」が続いてしまっているのがウガンダの実情なのだそう。
「生理の貧困」をなくすために
原さんは、現地の小学校の先生から「生理用ナプキンを支援してほしい」と言われたことがあるそうです。しかし、金銭面な問題で現実的ではないこと、原さんが国際支援の際に大事にしている「その支援がなくなったときに、同じ問題に直面してしまったら意味がない」ということから、原さんは、現地で手に入る素材を使い、「布ナプキン」を作ることをレクチャーする活動をおこなっています。
たしかに、布ナプキンならば洗って何度でも使うことができますし、裁縫道具と布があれば作ることもできます。継続的に使い捨てナプキンを購入するよりも安価です。
▲現地のスタッフが小学校で布ナプキンの作り方をレクチャーする様子
2019年ころからこの布ナプキン制作レクチャー活動をスタートさせた原さん。コロナ禍もあり現地へ行くことができなかった期間もありましたが、改めて「スキルを学ぶ機会を提供する」ことの大切さを実感したと、この動画の後に公開された「アフリカの生理事情」の動画について、お伝えしたいことがあります。の動画で語っていますよ。
日本でも、近年は特に「生理の貧困」について取り上げられることが多くなりましたが、原さんが語った貧困地での「生理の貧困」の実態は私たちの想像以上のものだったように思います。実際に、この動画には「今まで海外の生理事情について考えることはなく、貧困でナプキンが購入できないということに驚いた」、「生理の貧困についてより身近に考えることができた」というコメントが多く見受けられました。
また、男性である原さんが「生理の貧困」という問題に切り込む活動をされていることに、「生理を理解して真摯に向き合ってくれていることがうれしい」というコメントも。
原さん自身、男兄弟かつ中高を男子校で過ごしたことから「生理」とは無縁だったとのことですが、ウガンダでの「生理の貧困」の問題に触れて、無知だったことを反省したと語っています。そのうえで、「生理の貧困」は男性の無理解にも原因があると、原さんは考えているようです。「女性の生理について理解することが、ジェンダーギャップを取り巻くさまざまな問題を考えることにつながるのかもしれません」と動画の最後にお話しされています。
皆さんは、アフリカでの「生理の貧困」の実態を知って、どのように感じたでしょうか?
▼今回の動画はコチラ
画像提供・協力/原貫太・フリーランス国際協力師
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