「結の好きなご飯、いくつか買ってきてあるんだ!」
「わかるの? 結が好きなものなんか」
「わからなかったよ。ノートを読んで、罪悪感で押しつぶされそうになったよ。雪穂はこれをどんな気持ちで書き続けていたんだろうって……」
娘と1年間も一緒にいたのに、好きなものさえ知らなかった。せっかく育児に参加できるように書いてくれていたのに、こんな非常事態が訪れるまでノートを開こうともしなかった。
そのノートには、自分が知らないことがたくさん書かれていた。娘のちょっとした成長やかわいさを見逃していたことを知った夫は……。
開くことすらしなかったノートには知られざる事実が……
「ノートを読んで、初めて知ることが山ほどあったんだ。前からずっと読んでねって言われてたのに……」
「ページをめくるたびに、雪穂の気持ちを踏みにじってきたんだって痛感させられた。それと同時に、こんなにも結の成長を見過ごしてきたのかと衝撃を受けた……」
自分が家庭を顧みず、仕事に没頭していたあのとき、娘は毎日成長し、少しずつできることが増えていった。すぐそばにいたはずなのに、そのすべてを見逃してしまっていた。
娘に向き合う妻に、何もしてあげられなかった。
「本当にかけがえのない時間を捨ててきたんだ」
自らの過ちに気づき、深く反省した夫。さらに自分の思いを妻に伝えて……。
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