目の前でおいて行かれた子
4歳の娘と1歳の息子とともに公園の砂場で遊んでいると、その砂場にママと3歳くらいの女の子がやってきました。女の子が砂場で遊び始めると、ママが「じゃあ、ママが来るまでここで遊んでてね」と言うのが聞こえました。
思わず「え?」と顔を上げましたが、すでにママはスタスタと歩いていくところ。女の子は黙々と砂場で遊んでいます。私は「すぐそこのコンビニでも行ってくるのかな? それにしてもこんなに小さい子を置いていくの?」と思い、「心配だし、ママが来るまでは一緒にここで遊んで見ておこう」と秘かに考えていました。
放っておくわけにもいかず…
ママがいなくなってから1時間、ずっと砂場で遊ぶ女の子を気にしつつ、自分の子どもたちと遊んでいました。あたりは少しずつ暗くなってきていて、公園から帰る親子もチラホラ。わが家もそろそろ帰ろうという時間でしたが、女の子のママの姿はまだありません。
そのまま知らない顔をするわけにもいかず、「ママはまだ帰ってこない?」と女の子に声をかけてみました。女の子が顔をあげて「うん」と答えてくれたので、「おうちは近く? ママどこに行ったかわかる?」と聞いてみても、「わかんない」との返事。そのまま置いて帰れず「ママが来るまで一緒に遊んでようか」とわが子たちと一緒に砂場で遊び始めました。
戻ってきたママのまさかの言葉
女の子と一緒に遊び始めてから30分後、暗くなってきた公園の向こうにようやくママの姿を発見しました。ホッとしつつ「ママ帰ってきたよ」と言うと、女の子は「ママ!」と駆け寄り、それまで我慢していたのか静かに涙がポロポロ出てきました。
私は「すみません、ひとりでいたので一緒に待たせてもらいました」と言うと、そのママはなんと「頼んでませんけど」と仏頂面で言うのです! 想像していた反応と違い、驚く私。続けて「ママのこと思い出させられて泣いちゃったんだね。かわいそうに」と言い、女の子を抱っこして行ってしまいました。あまりの言葉に私はその場に立ち尽くすしかありませんでした。
住宅街にある公園とはいえ、周りは車道です。女の子が飛び出してしまう可能性もあったと思うと、置いていったママは何を考えていたんだろう?とその無責任さに怒りさえ抱いてしまいました。もし次に同じ親子に出会ったら、やんわりとでも「ひとりで遊んでいて危なかったですよ」と伝えたいと思っています。
著者:山口花
田舎で1女1男を育てる母。コーチングの資格を子育てに生かしながら日々奮闘中。主に妊娠・出産・教育の記事を執筆している。