なかなか妊娠できなかった日々
私は23歳で結婚しました。すぐに子どもが欲しかったのですが、1年経ってもなかなか妊娠できず……。原因がわからずモヤモヤしていると、当時働いていた職場の師長に、ブライダル健診というものをすすめられました。私は軽い気持ちで、その健診を受けてみることに。
すると検査の結果、両方の卵巣に大きい嚢腫(のうしゅ)が見つかったのです。先生には、「妊娠はできる。でも、産むときに嚢腫が邪魔して大変なの。妊娠前にわかってよかったね」と言われ、すぐに手術することになりました。
まさかの双子を妊娠!
手術は時間がかかりましたが無事に成功し、予後も問題はありませんでした。手術から1年半後に病院から妊娠の許可がおり、その2カ月後に初めて妊娠することができたのです。妊娠がわかったときは、もちろんうれしかったです。しかし正直、なんとも言えない怖さも押し寄せてきました。まだ同年代で妊娠を経験している人が周りにいなかったからです。
ずっとずっと望んでいた妊娠ですが、不安もとても大きかったのです。そして、いろいろな思いを抱えながら行った3回目の健診で、先生から「双子ですね」と告げられました。
双子を産み育てる覚悟
実は、結婚してからの私は自分に自信が持てず、夫や周りの人の顔色をうかがいながら過ごしていました。地元から離れ、知り合いのいない場所に嫁いだからなのか、夫や義家族と一緒にいても孤独感は常にありました。だから望んでいたはずの妊娠も、不安が強かったのかもしれません。
しかし双子だとわかった瞬間、不思議と不安は消えて、育てられるという自信と覚悟が湧いてきました。妊娠中もつわりや動悸、どんどん大きくなるおなか、切迫早産で2カ月を超える入院など、とても大変な日々でした。それでも、おなかの中の2人が支えてくれている気がして、強い気持ちで乗り越えることができたのです。
双子が私を救ってくれた!
私は2人に何度も救われました。1回目は、卵巣嚢腫に気づかせてくれたこと。なかなか妊娠しなかったのは、2人が「今は危ないよ!」と知らせてくれていたように思います。2回目は、私に自信をくれたこと。何をやってもダメだと思っていた自分に、2つの命を育てられる強さや誇りを持たせてくれました。
そして6年経った今でも、救われることがたくさんあります。このことを、これからもずっと忘れてはいけないと思いながら、日々子どもたちと過ごしています。
私は妊娠と出産を経験し、子どもの持つエネルギーの強さを知りました。親と子どもは一見、縦の関係に見えますが、子どものほうがずっと、エネルギーも生きようとする力も強いと思います。親が子どもを育てているようで、実は子どもに救われることや教えてもらうことのほうが多いのではないかなと、最近よく思うのです。そしてそう思うたびに、2人に「ありがとう」と伝えています。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
「共感した」「私の場合はこうだった」など、ぜひベビーカレンダーサイトのコメント欄にご感想をお寄せください。また、ベビーカレンダーでは皆さんから募集した体験談を記事でご紹介させていただくことも。ベビーカレンダーに会員登録すると届くメルマガから、皆さんのオリジナル体験談をご応募ください。
監修/助産師 松田玲子
著者:桜 七瀬
6歳双子の男の子と3歳の男の子、夫の5人家族。看護師資格を持っている。趣味はアンテリア雑貨や住宅公園巡り。読書や英会話の勉強も時間を見つけては続けている。