私は現在モロッコで3歳になる娘を育てています。前回はモロッコの幼稚園事情についてお伝えしました。
生まれてから日本で暮らしていた娘がモロッコへ移住したのは3歳になるちょっと前のこと。すでに、だいぶ日本語が堪能になった時でした。
モロッコの公用語であるアラビア語なぞ、まったくといっていいほどわかりません。親であるわたしもアラビア語は全くわからない状況。そんな中、9月に新学期を迎えるモロッコでの幼稚園が始まりました。
どこの国の子どもも最初は同じ
日本にいた時から、ママと一緒がよかった娘。いきなり言葉も通じない、知らない場所、知らない人たちの中に放り込まれるわけなので、たまったものではありません。
初日は、幼稚園に送り届ける際はもちろん、幼稚園にいる間中、大泣きしてクラスに留まっていることができなかったそうです。親の私が思わず弱気になってしまいました。
そんな時、先生が「どの子も最初は泣くし、ここが自分にとって危険でない場所だと知るところからなんですよ」と言ってくださり、ホッとしたものです。
子どもの成長に涙
日本の同じくらいの年の子をもつ友人の子どもも「最初はとても泣いたよ、そのうち、幼稚園に自分から行きたがるよ」と励ましてくれたものの、毎日送りに行く際に泣かれるとやはり、もう少ししてから通わせようか、と思ってしまいます。しかもモロッコの幼稚園は昼に3時間戻ってくる旧フランス式。
1日に2回も送り届け、2回も号泣されると親の方が参ってしまいます。ところが、そんなことを繰り返していた約1カ月後、「ママ、えーんえんしないの。心配しないで」と言って幼稚園へ自ら入っていったのです。
子どもの吸収力に脱帽
それからというもの、「大嫌い」と言っていた幼稚園を「好き」というようになり、お友達、先生に会いに幼稚園へ行きたがるようになりました。
2カ月経った今では、アラビア語とフランス語がわたしとの会話にちょくちょく出てくるようになりました。娘が幼稚園へ行っている間、必死に語学勉強しているわたしですが、あっさり娘に抜かれてしまいそうです。
まだまだ心配は尽きませんが、子どもの成長力というのは、親が思っているよりずっとすごいものではないかとモロッコへ来て強く感じます。もしかしたら、日本にいたら、お友達と比較してしまって娘の成長力に気付けなかったかもしれないな、とも思う今日このごろです。(TEXT:ヒロコ ラメッシェ)