【前回のあらすじ】胞状奇胎(ほうじょうきたい ※1)から侵入奇胎(しんにゅうきたい ※2)になってしまった、月野ねこさん。大学病院に入院し、副作用と闘いながらも月曜日から金曜日まで5日間の治療を終え、土曜日に退院しました。その後、退院して最初の検査でHCG(※3)値は無事に下がったことが確認され、今後は外来で抗がん剤投与をすることに。しかし、外来での抗がん剤投与が2クール目を終えたとき、医師に「HCG値が下がらなくなってしまいました」と告げられ、再び入院し、今度は別の抗がん剤で治療することが決まったのです。
※1=胞状奇胎は、異常妊娠・絨毛性疾患の1つ。本来は胎盤になるはずの絨毛が異常増殖し、ぶどうのような粒がたくさん子宮内に発生する。
※2=侵入奇胎とは、胞状奇胎の細胞が、子宮内の筋肉や血管内に侵入した状態のこと。
※3=ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン。妊娠初期に受精卵から尿中に分泌され始め、妊娠10週でホルモン値がピークになるが、通常ではその後、HCG値は下降する。
※月野ねこさんご本人の体験談ですが、作中での月野ねこさんは“豆田あんこ”という名前になっています。
2度目の入院生活
※イラストは、アクチノマイシンDを点滴に混ぜて投与しているシーンを描いたものです。
メトトレキセート(=メトトレキサート)による抗がん剤治療を始めたものの、外来で2クール目が終了したときにあまり効果が出ていないとわかり、次からはアクチノマイシンDという抗がん剤を使うことになった、月野ねこさん。アクチノマイシンDは初めて投与する薬で副作用も多くあり、医師や看護師さんに経過を診てもらわなければならないため、再び大学病院に入院することに。
ちなみに、アクチノマイシンDは小児がんをはじめ、骨髄腫や精巣腫瘍、そして絨毛がんの治療に使用される抗がん剤です。副作用は吐き気や嘔吐、食欲不振、下痢、脱毛、皮膚が黒っぽくなるなどの症状が報告されています。
スケジュールや投与方法は前回入院したときと同じで、月曜日から金曜日まで5日間かけて、毎日少量ずつアクチノマイシンDを点滴に混ぜて投与します。前回、メトトレキセートを投与したときは副作用の吐き気や嘔吐がひどかったのですが、今回は最初から点滴に吐き気止めを混ぜてもらったおかげで、前回のように吐き気がひどくて夜に眠れないこともなくなりました。
そのため、月曜日や火曜日は普段通りにごはんを食べ、シャワーも浴びることができていた、月野ねこさん。ところが、水曜日になると吐き気が増してきて食欲がなくなり、ごはんを食べることもシャワーを浴びることもできなくなってしまいました。
それを医師に相談したところ、医師いわく「抗がん剤は通常、2日間で体内から抜けるようになっています。でも、月野ねこさんの場合は5日間かけて投与していくので抗がん剤が体から抜けきらず、体内に蓄積されていっているのかもしれません」とのこと。だとすると、木曜日や金曜日はもっと副作用がつらくなる可能性もあります。それに、抗がん剤治療に耐えて土曜日に退院したとしても、抗がん剤が体から抜けるのは月曜日くらいになり、それまではずっと副作用に耐えなければならないのです。
「吐き気止めを点滴に混ぜてもらっているし、このつらい副作用にもどうにか耐えられるはず」
「いや……耐えるしかない。我慢するしかない。絶対に終わりはくるから」
そう信じ、泣きたくなるのをグッと我慢して、ひどい副作用と再び闘うことを決意した月野ねこさんでした。
医療監修/天神尚子先生(三鷹レディースクリニック 院長)
月野ねこさんのマンガは、このほかにもInstagramで更新されています。ぜひチェックしてみてくださいね♪
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