こんにちは。小児科医の保田典子です。急に寒くなってきて暖房器具が欠かせない季節になってきましたね。今回は暖房器具を使うときに気をつけたいことをお伝えします。
毎年多くのやけどの事故情報があります
子どもは、暖房器具がやけどをする可能性のあるものだと分かりません。寒い時に暖かくしてくれて快適ですし、そもそも色々なものに興味を持つ年頃です。どうしたらやけどになってしまうかも分かっていません。そのため、どのくらい近づいたらダメなのか、長時間あたっているとやけどの危険があるかなど分からないので、気が付いたらやけどになってしまうということが多くあります。
また、子どもは大人より皮膚が薄いため、やけどのダメージがより深く影響する可能性があります
暖房器具のNG行為5つ!
① 床置きの暖房器具をそのまま置く
床置きの暖房器具の温風が出るところに触れて、やけどをする例が多くあります。子どもが近づけないところに設置したり、安全柵などで囲いましょう。
② ストーブの上にやかんを置く
やかんや電気ポットによるやけどの事故はとても多いです。やけどの範囲が広くなりがちなので、入院になることが多いパターンです。やけどの跡が一生残ることもあります。
「置いておくだけでお湯が沸くし、加湿もできるから」と、ストーブの上にやかんを置く方もいますが、子どもがいる家庭では、子どもの手が届かないようにしていてもやかんを置かない方が良いでしょう。これからの時期、特に気をつけたいのが帰省先。自宅には石油ストーブがなくても帰省先にあることも多いです。帰省したらやけどのリスクがないか、帰省先の家の中をチェックしてくださいね。
③ 温風が当たりやすいところに長時間いる
子どもと一緒に暖房器具で温まっているときに、子どもだけやけどをしてしまうこともあります。寒い時は暖房器具の温風が出る所にいがちですが、子どもの皮膚は薄いのでやけどになりやすいです。温風付近に長時間いないようにすること、また子どもの皮膚の温度が熱くなりすぎていないか、こまめにチェックしましょう。
④ 蒸気が出る家電などが手の届く場所に置いてある
温かい蒸気が出る加湿器や炊飯器などの家電にも注意が必要です。上記はかなりの高温なので、ちょっと触れただけでもやけどになります。子どもの手の届かないところに設置しましょう。また、新しい家電を購入するときは、そもそも熱い蒸気が出るものは避けましょう。
⑤ 湯たんぽを布団にいれたまま寝る、電気カーペットを長時間使用する
低温やけどになるパターンです。湯たんぽは寝る前に布団から出す、電気カーペットの上で寝るようにしない、などの対策が必要です。お湯を入れる湯たんぽが破裂したり、湯たんぽのフタを子どもが開けてしまって熱湯でやけどするケースもありますので、湯たんぽは電子レンジで温めたり、電気で温めるタイプのものを使用するのもおすすめです。
もし、やけどになってしまったら?
いろんな対策をしていても、やけどになることがあります。もし子どものやけどに気がついたら、流水で冷やすようにしましょう。大人の手のひら1つ分よりも大きいやけどになっている可能性がある場合は、急いで(夜間でも翌朝を待つことなく救急外来を)受診をするようにしましょう。また、熱い蒸気を口から吸ってしまうと「気道熱傷」の可能性もあるので、急いで受診しましょう。
12月からやけどの事故が多くなります。帰省や旅行なども多いので、自宅で対策をしっかりしていても、外出先での危険が多くなる時期です。NG行為とやけどの応急処置を知っておいて、寒い季節を安全に乗り切りたいですね。