娘の結ちゃん、2歳の誕生日。仕事帰りに予約していたケーキを受け取り、花屋でバラの花束を買った帰りの満員電車で、男を取り押さえた。
逃げようとする男を捕まえるのに必死になって、ケーキも花束もボロボロになってしまった。「また結の誕生日を台無しにしてしまった」と涙をこぼす夫を、妻はぎゅっと抱きしめる。
「カズ君はかっこいい! その子を助けてくれて、ありがとう。カズ君は結にとって自慢のお父さんだよ」とやさしく声をかけた。
潰れてしまったケーキの代わりに、コンビニでケーキを買うことに。結ちゃんを真ん中に、三人で手をつないでコンビニへ向かった。
その後……。
「もし人生やり直せるとしたら?」夫の答えとは?
「このまま奥さんと二人でもいい」と子どもを持つことについてどうしようか悩んでいる後輩から、「もし人生やり直せるとしたら、倉田さんはまた子どもをつくりたいと思いますか?」と聞かれた夫。
「俺さ、『父親』になれるまですごく時間がかかったんだ」
「子どもを通して世界を見たら、日常の些細なことが感動と喜びで溢れるようになって、自分のことが好きになれたんだ」
「だから、俺は何度でも同じ選択をすると思う。来世でも2人と家族になれますようにって」
後輩からの質問に「来世でもまた家族になりたい」と答えた夫。この家族のカタチをつくるまで、いくつもの紆余曲折があり、小さなすれ違いや歪みが大きなうねりとなって、妻と夫それぞれを悩ませ、傷つけ、苦しめてきました。
一度は離婚の危機に陥るも関係修復に至り、最後は3人で笑って過ごせるようになった家族。夫編、妻編それぞれの目線で展開されたマンガは、多くの方から共感を呼び、話題となりました。長い間お付き合いいただき、ありがとうございました。以下、ちなきちさんからのコメントです。
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<ちなきちさんのコメント>
約1年半という長期間の連載にも関わらず、最後までご覧いただいた読者の方へ感謝を申し上げます。本当にありがとうございました! みなさんの応援の声があったからこそ、描ききることができました!
もともとこの作品は、夫婦関係が崩壊していくきっかけである「チリツモ」の「塵」を描きたいと思って始めた作品でした。
関係が壊れていくのも「チリツモ」。
信頼を取り戻すのも「チリツモ」。
ただ、あまりにも小さい「塵」を描きすぎて、1話ずつ見ているとあまり展開がなく、退屈な思いをさせてしまった方も多くいると思います。ですが、全体で見たときに和樹と雪穂がお互いに成長し、変わっていく様子を丁寧に描けたらいいなという想いから、最後までスタンスを変えず、描かせてもらいました。
そのため、最後まで付き合ってくださった読者の方々には感謝してもしきれません。日々の貴重な「数分」を頂けたこと、本当に嬉しく思います。
和樹と雪穂の物語はこれで終わりですが、これからもInstagramからマンガを投稿していきますので、変わらずお付き合いいただければ嬉しいです。今後とも宜しくお願いします!