職場の人間関係に悩んでいた私
私はもともと人とのコミュニケーションが得意ではありません。特に年上の女性とは相性が良くないようで、人当たりのいい人以外には「頑固」「生意気」など反感を買うことも少なくありませんでした。
当時の職場は私が苦手とする年上の女性が多かった上、業務上、同僚同士で話さなければならない機会も多々ありました。コミュニケーションが苦手な私は会話中に相手の反感を買ってしまい、裏で陰口を叩かれることも多かったです。陰口に気づいた私は傷つき、同僚と会話するのが苦痛になっていきました。
ある日、限界を迎え…
ある日、職場にいる年上の女性たちから陰口を叩かれていることを人づてに知った私。さらには、陰口を叩いていたうちのひとりからは、直接的にかなりきつい言葉を浴びせられました。
「どうしてそこまで言われなくちゃいけないんだろう」と、私は強いショックを受けましたが、「ここで泣いたら私の負けだ」と歯を食いしばり、終業時刻まで残りわずかだったこともあって、会社ではなんとか涙をこらえました。
その後、悲しみに耐えながら彼と同棲中の家に帰ると、夕食を準備していた彼が「おかえり」と笑顔で出迎えてくれました。その瞬間、私は涙があふれて止まらなくなってしまったのです。
何も言わずただ抱きしめてくれた彼
彼は、泣き続ける私を見ても「どうしたの?」などと尋ねることなく、ただやさしく抱きしめてくれました。プライドが高い私は誰かに弱音を吐くことに抵抗があり、普段から彼には仕事の愚痴を一切話していませんでした。そのため、どうしたのかと聞かれても詳細は説明できそうになく、彼に泣いた理由を聞かれたらどうしようと思っていました。
そんな私の思いを汲み取ったように、彼はそのあとも泣いている理由を尋ねることなく、私が泣き止むまでずっと頭や背中を撫で続けてくれたのです。このとき、何も聞かずにただ抱きしめてくれる彼のやさしさに胸を打たれた私は、「結婚するならこの人しかいない」と確信したのでした。
今思えば、口下手な彼は泣いている私に対してどう言葉をかけていいのか困り、抱きしめるしかできなかったのかもしれません。それでも、そのときたしかに私は、彼のやさしさや温もりを心から感じたのです。
彼の素朴なやさしさは結婚した今でも日々感じていて、やはりあのときの私の直感に間違いはなかったと思っています。
著者/百田
イラスト/sawawa
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