大盤振る舞いの彼
30歳前半の時に合コンで知り合い付き合うことになった彼は、体が大きくて優しい人。少し神経質な性格が気になりましたが、大きな体に抱かれると心地良く大好きでした。そんな彼は、私にいろいろと尽くしてくれます。特にお金の面は顕著でした。毎回デートの交通費まですべて支払ってくれるほどの大盤振る舞い。私がお金を出そうとすると彼はいつも「稼いでいるから大丈夫。好きな人のものは俺が全部払う」と言って頑なに受け取ってくれません。
しかし、彼はバツイチで前の奥さんに養育費を払っていました。そんな状態で私のためにここまでお金を使って大丈夫なのか気になりましたが、彼の言う通りにしていたのです。
北海道旅行
私は当時一人暮らしで、自分の生活で精一杯な状態でした。付き合い始めて3カ月が経ったころ、彼が北海道に旅行に行こうと言うのです。しかし私は飛行機に乗って旅行に行くような金銭的余裕はありません。だからもう少し近場にしようと提案しましたが、彼は「俺が交通費も旅費も全部出すから、一緒に行こう」と言います。申し訳ないので断ったのですが、彼は「行こう!」の一点張り。仕方なく、彼の言うままに2泊3日の北海道旅行が決まりました。旅行当日、彼から「これで全部払ってくれ」と20万円を渡され恐縮しましたが、ここまできたら楽しもうと割り切り北海道へ向かった私。
北海道でのレンタカーやホテルも彼がすべて手配し、おいしい食事のチェックもぬかりありませんでした。こんなに幸せでいいのかと思うほど充実した旅行中、なんと彼から同棲を提案されたのです。これからなにもかもがうまくいくと思い、彼が言う「好きだからお金を出すのも当たり前。夫婦だと思ってやっているんだ」という言葉を信じきっていました。
衝撃の別れのエピソード
私は性格がおおざっぱで、彼は神経質です。北海道旅行以降、一緒に暮らすようになると家事や掃除のやり方に、彼から細かいダメ出しが入ることが多々ありました。また当時の私の職場は男性が多く、それに対しても彼は過剰に心配します。会社から帰るたびに「浮気してない?」と聞かれ、信用されていないのだと悲しくなりました。束縛はどんどんひどくなり、しまいには「転職したら?」とまで言われるようになったのです。電車は女性専用車両に必ず乗るよう指定されるほど……。
度を越した彼からの思いがつらくなり、だんだんと彼と価値観の違いが見えてきてお互いに気持ちが離れてしまいました。その後1年ほど経ちついに別れることになったのです。
すると彼から「今まで君に使ったお金を全部返して欲しい」と衝撃の言葉が出てきました。私はびっくりして、声も出ません。さらに私への出費をすべて家計簿につけていたことまでわかりました。デート代だけでなく、彼が厚意で買ってきてくれたケーキなどの費用も細かく記録しており、それを見ながら「全部で50万になる」と言われたのです。もちろん北海道旅行の費用も入っています。
金額に驚き、なによりも彼の言葉や気持ちをずっと信じきっていたので、ショックが大きいです。泣きじゃくりながら「私からお金を出してほしいと言ったことは一度もない。全部あなたの気持ちだった。返せと言うならはじめから出さなければいい。今までの楽しかったことはなんだったの?」と彼に訴えました。今までの思い出がすべて真っ黒になり、もはや彼は恐怖の存在でしかありません。結局お金は返していません。あまりにも理不尽だと思ったからです。彼とはそれきりですが、それ以来お金を出してくれる男性が怖くなり、できるだけ割り勘にするように心がけています。
「お金を出すよ」という彼の言葉に甘えきってしまった自分にも非があると思います。この一件で、たとえ恋人であってもお金に関しては注意しなければならないと学びました。お付き合いが順調なときはいいかもしれませんが、別れ話になったときどんな風にもつれるかわかりません。そして、普段からお互いに経済的に対等な関係性であることが大切だと思いました。
著者/町田さくら
作画/ちゃこ
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