妻との関係修復に努める勇気とは反対に、妻は勇気を無視するようになります。娘たちの参観日は仕方なく夫婦別々で参加しますが、次女の教室で目が合うと妻は敵を見るような冷たい視線を向けるほどでした。
授業が終わると知り合いの保護者に話しかけられ、妻との不仲を悟られないよう世間話に付き合う勇気。でも、その間に妻と娘たちは勇気を置いて帰ってしまい、ひとりトボトボと帰宅する勇気でしたが……。
帰宅すると誰もいなくて
学校から歩いて帰ってきた勇気は、すぐに異変に気が付きます。
歩いて帰ってきた自分より早く着いているはずなのに、車がないのです。不思議に思って5分ほど待っても、妻たちは帰ってきません。
一体、どこにいるんだ?
今の状態で妻が電話に出るわけがないと思った勇気ですが、帰ってくるのか不安にかられて、妻に電話をかけます。「何?」出ると思わなかった妻が、電話に出ました。
「どこにいるの?」「別にどこでも良くない?」「良い悪いの問題じゃないだろ」そんな言い合いをしているうちに、勇気が電話した意図が伝わったのか、妻は「アカリとレイナが回転寿司食べたいって言うから、今日は食べて帰るわ」と。思わず「え……俺は?」と返した勇気に「……来たかったの?」と妻の返答はどこまでも冷たいものでした。
別にごはんのことなんてどうでもよかったが、「俺はごはんどうすんの?」とつい聞いてしまう勇気。
「家にラーメンとかあるじゃん」
…ここでもう、勇気は言葉が出なくなります。
妻たちは20時過ぎに帰宅しました。参観日が終わったのは14時……。
子どもたちが言うには、妻の実家に行っていたとのこと。さすがに笑顔で「おかえり」とは言えず、妻はもちろん、勇気は子どもたちにも目を向けませんでした。
家族の楽しそうな会話が背後から聞きえてくる同じリビングで、まるで別世界にいるように感じる勇気でした。
勇気だけ除け者にして、家族で回転寿司に行っていた妻。思わず「え、俺は?」と言ってしまった勇気の気持ちを考えると切ないですね。身勝手な行動ばかりする妻が勇気にしている「無視」という行為は、精神的な暴力ですよね。子どもたちにも、笑顔を向けられず「おかえり」さえ言えなくなってしまった勇気の心が心配です。
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