家庭が夫の職場になったことがきっかけで
家庭が職場になって息苦しさに耐える日々
わが家はオープンスペースが多く、仕事専用の部屋がありません。そんな環境で夫のテレワークが始まりました。生活の場が夫の職場になり、私は音を出さないように家事をしたり、静かに料理を作ったり、電話会議の音声が飛び交う中で遠慮がちに生活せざるを得なくなりました。また、夫の会社の飲み会がなくなったことで食事を用意する回数も増加。私のストレスは日に日に増していきました。
夫はそんな私の気持ちには気付くこともなく、通勤から解放されてうれしそう。土日はオンライン飲み会で大きな声を出して飲んで楽しそう。テレワークを楽しんでいる夫への不満は募るばかりでした。もともと夫は早朝から深夜まで勤務しており、家事を手伝うことは一切なかったので、ただ家にいる時間が長くなっただけの夫の存在がますます疎ましくなっていきました。
一方、私はというと、楽しみだったヨガ教室がコロナ禍の影響で休業になり、パートが休みの日もどこにも行けず、読書や動画を観ようにもテレワークの音で集中できず、ただもやもやしていました。
ストレス爆発は変化することのきっかけに!
私のストレスが限界になったころ、テレワーク生活についての不満を夫に伝えました。食事を作る回数が増えて大変なのでテイクアウトなども利用したい、家庭で夫が仕事をしていると気持ちが休まらないので、私のパートが休みの日は外で仕事してほしいとお願いしました。
夫に私のパートのスケジュールを伝えたのはこのときが初めて。それまでは、私がいつ働いていつ休んでいようが帰宅の遅い夫にはまったく関係がなく、聞かれることもなければ伝えることもなかったのです。
でも今回、私のスケジュールと不満を伝えた結果、私の休みの日にはレンタルオフィスに行ったり、家で仕事をするときも性能の良いイヤホンを使ったりしてくれるようになりました。また、たまにお弁当を買って来てくれるようにもなりました。
一番の変化は、頼まなくてもごみ出しをしてくれるようになったことです。テレワークになる前はごみの分別方法も回収日も知らなかった夫が、進んでごみ捨てをしてくれます。あえて冷蔵庫に目立つように貼った「分別収集カレンダー」を見て確認しながら捨てている姿を見てありがたいなと思うとともに、お願いすることを怠っていた自分を反省しました。
家事分担は「見える化」が大事
早朝から深夜まで働いていた夫にとって、家庭とは寝るだけの場所でした。ところが、夫にとって家庭にいる時間が長くなったことで、より住みやすい環境にしようと意識が変わったのだと思います。ごみだらけの部屋で仕事をしてもはかどらないという理由だけでなく、見えていなかった家事のルーティンが見えたことによって家事をする意欲が湧いたのだと思います。
そして、私のパートのスケジュールを知ってくれたことも家事を手伝うきっかけになったと思います。私の帰宅が遅い日は、洗濯物を取り込んでくれたり、鍋や炊飯器まで洗っておいてくれたりします。私も手伝ってもらうからには、シンクをきれいにしようと心がけたり、使わなくなった食器を思い切って捨てて片付けやすくなるように工夫したりしました。
夫いわく「どこまで家事を手伝っていいのかわからなかった」とのことでした。家事がしやすいような環境を作ること、手伝ってほしい内容を明確にすることが大事だと今更ながら気付くこととなりました。
まとめ
テレワークが始まったころは、夫が常に家にいる状態にただただストレスがたまる一方でした。しかし、振り返ると夫の家事に取り組む姿勢は見違えるほど変わりました。見えていなかった日中の家庭の姿を目にすることによって何が大変なのかが見えるようになったことが、意識の変化をもたらしたと思います。
私のほうも夫のオンライン飲み会に少し寛容になりました。「男の人は何をどう手伝えばいいのかわからない」ということもわかりました。これからもしてほしいことはわかりやすく伝えていこうと思います。テレワーク生活をきっかけに家事を分担でき、夫を見直すことができました。定年退職後の予行練習にもなりよかったです。
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イラスト/しおみなおこ
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著者:おきるちゃん
40代のど真ん中。加齢に抗う気持ちと、受け入れる気持ちでゆらぎ中。ヨガが趣味。