子宮から飛び出た親指大の筋腫
持病であるSLE(全身性エリテマトーデス:全身に炎症などの症状が現れる自己免疫疾患)やリウマチ、さらには不正出血の治療を続けているひぽぽさん。ある年の夏には大量の不正出血と貧血、熱中症が重なり、病院へ運ばれてしまいました。
それから5年後のある日、ひぽぽさんは再び自宅で大量出血を起こし、貧血と出血性ショックで床に倒れてしまいます。夫に助けてもらい、病院へ連れて行ってもらうと……。
ひぽぽさんが倒れたのは義実家の2階(ひぽぽさんや夫の部屋がある階)でした。そこから床を這いつくばって、なんとか1階(義母の部屋やリビングがある階)へ移動します。
義母や義父は心配そうにはしてくれているものの、どうしていいのかわからない様子。まだ3歳の姪っ子は「なんで床に寝転んでるんだろう?」と不思議そうな表情でした。
高速を1時間ほど走ってかかりつけの病院に到着したあとは、夫に支えられながら救急外来へ。
ベッドに寝かされて採血をすると、ヘモグロビン値は『8.2g/dL』。以前に血液検査をしたときは、およそ11g/dLだったので、昨晩からの大量出血で3g/dLほど急激にヘモグロビン値が低下したようです(女性のヘモグロビンの基準値は11.4〜14.6g/dL)。さらに2日後の検査では、6.7g/dLまで数値が落ちたのだとか。そりゃあ貧血にもなりますよね……。
ベッドで寝ている間に朝9時をまわったので、救急外来ではなく一般の外来扱いになり、婦人科の診察に案内されたひぽぽさん。内診できる状態ではなかったため、医師に「このまま入院して、体調を見ながら後日に検査をしましょう」と言われ……。
入院当日、夕方まではベッドで寝たきり。体を動かすのもつらく飲食もできません。お昼の2時くらいに看護師さんに手伝ってもらってプレドニゾロン(ステロイド内服薬。免疫疾患における炎症などの症状を鎮める。ひぽぽさんの場合は持病の『SLE(全身性エリテマトーデス)』の治療に用いている)を飲むと、夕方くらいにようやく体が動かせるようになりました。
病室の天井を見つめながら、
ーーまたここに戻ってきてしまった……
ーー昨日までは普通に生活していたのに、どうしてまた急に入院しなければならなくなってしまったんだろう
ーー私の体に一体何が起こってるんだろう
と、深い悲しみに暮れるひぽぽさん。
その翌日、大量出血の原因を突き止めるため、婦人科の診察室で検査を受けます。
「筋腫が子宮から飛び出してしまっています。これが大量出血の原因になったようです」
内診をしたところ、大量出血は筋腫によるものだったと判明! 明日になったら手術をして、筋腫を根本から切除することになりました。
しかし、『筋腫が子宮の外に飛び出している』と聞くと、なんだかおそろしいですよね。一体どんな状態なのでしょうか……?
どうやら、筋腫が子宮外へ飛び出してしまっている状態のことを、医療用語では『筋腫分娩』と呼ぶらしいです。
実はひぽぽさん、約6年前の流産のときに子宮内に筋腫が7つほどあるとわかり、摘出した過去があります。今回は約6年の時を経て子宮筋腫が再発したとのこと(数カ月前に検査をしたときは異常がなかったので、ここ数カ月で再発したようです)。医師によると、今回できていた子宮筋腫は『親指大の3〜4cmの大きさで、腟から器具を入れて摘出手術ができる』そうで、
「手術は分娩室でおこないますね」
と、淡々と告げる医師。それを聞いたひぽぽさんは、思わず固まってしまいました。
持病のSLE(全身性エリテマトーデス)やリウマチ、不正出血の治療を何年も続けたのち、約6年前に奇跡的に妊娠することができたひぽぽさん。しかし胎児がうまく育たず、結果は流産。そんな過去があるからこそ、ひぽぽさんにとって『本来は赤ちゃんを産むための分娩室に入ること』は精神的につらいものがあります。
しかし、そんな個人的感情を医師に伝えてまで、手術する場所を変えてもらうわけにもいきません。このあとは医師から手術内容や手術時に使用する麻酔のリスクなどを説明され、家族にも同意書にサインしてもらって手術が本決定。
複雑な思いもあるでしょうが、ひぽぽさんにはなんとか手術を頑張ってほしいですね。何事もなく手術を終えて、ひぽぽさんが一刻も早く本来の日常に戻れますように。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
監修/助産師 松田玲子
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