高2のとき付き合い始めた1学年下の彼
私は高校2年生のとき、1学年下の彼氏ができました。同じ部活で、彼が入部してすぐに仲よくなり、彼からのアプローチで交際がスタート。ただ、彼の性格には気がかりなことがあって、かなり怒りっぽく、すぐに手が出るのです。そして怒りがおさまった彼は人が変わったようにとてもやさしくなり、怒るとまた殴られるの繰り返しでした。
ある日、同じ高校の先輩がSNSサイトに動画を投稿しました。すると彼は、その投稿に対して「こいつはブスだ」「見ていて不快」などの悪意あるコメントを、実名でしたのです! このことが学校で問題になり、私はただちにコメントを消すよう彼に言いました。ところが彼は消し方がわからなかったようで、私に八つ当たりしだして……。
とても怖かったのですが、「別れよう」と言おうものなら、何をされるかわかりません! その恐怖もあって、私は別れを切り出せずにいました。
そして、私はだんだん思考が麻痺して、いつの間にか「彼の怒りがおさまるのであれば、黙っていよう」という考えに陥っていました。
学校の廊下で思いっきり頭突きされ…
高3になり、5月におこなわれる部活の大会に向けて準備をしていたある日。私はひどい偏頭痛があり、体調が最悪でした。でも高校最後の大会だから準備を続けようと、部室で鎮痛薬を飲んで、痛みがおさまるのを待っていたときです。彼が「今日は早退したほうがいい」と声をかけてきたのです。
頭痛が激しく、帰ろうにも自転車に乗れないほどつらかったので、私は「まだ帰れない」とだけ返事。
すると、これが彼の気にさわったようで、「俺が心配してやってるのに歯向かうのか!!」と、急に怒りだして……。彼の怒声を聞いて部活のメンバーが駆けつけましたが、彼は部室のゴミ箱を何度も蹴って壊し、部室を出て行ってしまいました。
一方の私は、ゴミ箱の破壊音が頭に響いて吐き気をもよおしてしまい、トイレに行こうと部室を出たのですが、そこで彼につかまってしまいました。「ふざけんなよ!!」と彼が拳を振りかざしたので、私が怖くて目をつぶると……拳は当たらず寸止め。
しかし、うっかり「殴られるかと思った……」と言うと、なんと彼は、私の頭に激しい頭突きを食らわせてきたのです!
その衝撃で私は壁に激しく頭をぶつけてしまい、このときの記憶がありません。かなり大きな衝撃音がして、向かいの保健室から「なにごと?!」と、先生が慌てて飛び出したそうです。そこで見たのは、壁にもたれてポカンとしている私と、叫ぶ彼の姿。先生が何度も私に呼びかけ、ようやく反応したので保健室に連れて行ったのだと、あとから教えてもらいました。
体育教師から衝撃のひと言!
そこで保健室の先生から「彼から日常的に殴られてるんじゃない?」と聞かれ、「はい」と答えた瞬間、私は恐怖と痛みがよみがえって泣き出してしまいました。そんな私を見て、先生は「別れられないのでしょう? 別れたいのであれば、生徒指導という形であなたの卒業まで彼を自宅謹慎にするよう、上の人たちに相談することもできますよ」と教えてくれました。
ここでやっと、怖くて痛いのが当たり前になってしまっていたことにおかしいと気づいた私。保健室の先生のやさしさに頼ることにし、彼への生徒指導をお願いしました。
ところが、生徒指導で個別に事情聴取があった際、彼は私を悪者にして「男女行為の際、避妊を断られた」とウソをついたのです! 本当はその真逆。無理やりしたのは彼のほうですし、「コンドームを着けてほしい」と頼んでも、私は殴られてばかりでした。さらにショックだったのは、彼の事情聴取をした体育の男性教師の対応です。
なんと、体育教師は彼のウソを信じて、私に「お前は尻軽女だな〜。将来は悲惨だなぁ」と言ってきたのです! この言葉は未だに忘れられません。結局、校内で私への暴力行為をおこなったことを理由に、彼は翌日から1年間の自宅謹慎となりました。
彼は1年間の自宅謹慎。のはずが…
その旨の連絡が彼からきました。ただし内容は「愛しています。更生したらやり直してくれますか?」というもの。意味がわかりません。ウソまでついて私を悪者にしたのに、今さら何を言っているのか。私は「無理です。もう連絡しないでください」と返信して、彼の連絡先をすべてブロックしました。
その日の夜。担任の先生から母に電話があり、母が出かけて行きました。帰ってきたのは深夜。様子がおかしいと気にはなったものの、ようやく彼の暴力から解放されたとの思いで胸がいっぱいで、翌朝は清々しい気持ちで登校しました。
お昼休み。校内放送で保健室にくるよう言われて行ってみると、保健室の先生から「昨夜、○○君(彼)が自宅マンションの6階から飛び降りました」と、衝撃の報告が! 遺書もあり、私への謝罪と、更生しても私が復縁しないと言ったことが飛び降りたきっかけになったと書いてあったそうです。母が昨晩出かけたのはこのためでした。
びっくりです。そして泣きました。私が追い詰めてしまったのかと思いました。まだ完全に彼のことを嫌いになれていなかったので自分を責めてうつになり、しばらく学校へ行けなかったほどです。PTSDにもなりました。少し経って彼が一命をとりとめ、集中治療室にいることがわかったときは、心からホッとしました。
1年後、彼がいつの間にか退院し、歩けないほどの複雑骨折を完治させて普通に歩けるようになったころ、彼が高校を退学してカナダに留学したことを知ります。向こうで新しい彼女もできたそうで……。この噂を聞いて以降、彼と離れられたことで私は少しだけ症状が軽くなり、そのあとも私たちの運命は交わることはなく、関係は完全に終わりました。
DV男は、一線を越えると暴力を振るうようになるそうです。暴力を振るったあとにやさしくするのはDV男の典型的なパターンで、ハネムーン期と言うのだとか。態度が豹変する男性は、気性の荒いときが本性と思ったほうがいいのかもしれません。
あれから10年経ちましたが、私のPTSDは今も続いています。そう簡単には忘れられません。けれども、現在は暴力なんてまったく振るわない、とてもやさしい男性と結婚し、娘も生まれました。娘には私のようなつらい体験をさせたくないので、大きくなったら、恋愛で自分の身を守ることの大切さを伝えたいと思います。
文/特濃いちごみるくさん
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