朝食を抜くとさまざまなデメリットが
――糖化ストレスは体に悪影響を及ぼし、「老け見え」につながるということですが、糖化ストレス対策として、避けたほうがいいことを教えてください。
工藤先生 朝食を抜くことは疲れや老けにつながる行為です。朝食を抜いて昼食をとるとドカ食いをしてしまう傾向があり、血糖値が急上昇してしまいます。血糖値の乱高下が続くと糖尿病になってしまいます。
また、朝食には体内時計をリセットする働きがあります。地球上のほぼすべての生物が体内時計を持っていて、昼夜の変化に合わせて体内環境を変動させる生体リズムを生み出しています。体内時計が狂ってしまうと健康面や美容面に悪影響が及ぶこともありますから。ヨーグルトなどサッと食べられるものでもいいので、朝食をとって欲しいですね。
おなかが空いてから食事を食べるのが理想
――食事のとり方では、どんなことに気を付ければいいのでしょうか?
工藤先生 空腹を感じてから食事をとるのがいいですね。私は、体調が悪くて食欲がないときなど、空腹ではないときに無理してものを食べる必要はないと考えています。空腹時にのみ分泌されるホルモンも多数ありますし、空腹になるのは決して悪いことではないんです。空腹を感じたときに腹八分目で食事をとるのが理想的です。
――食事は粗食のように質素なものをとるほうが体にも美容にもいいのでしょうか?
工藤先生 粗食とは本来、未精製の穀類と味噌汁、野菜、豆類、魚介類、海藻類で構成された和食のことです。ただし、“粗食”は本来の食事とは違った意味で有名になってしまい、ご飯、味噌汁、漬物の組み合わせだと思っている方も多くいらっしゃいます。
ご飯、味噌汁、漬物の食事ではたんぱく質をとることができず、低栄養になってしまいます。必要な栄養をしっかりとれるよう、粗食は和定食のような食事を意識してみてください。
ブロッコリースプラウトでAGEsを抑える
――おすすめの食材などがありましたら教えてください。
工藤先生 少し前にアンチエイジングに関する勉強会に出席して以来、私自身が意識してとっているのがブロッコリースプラウトです。
ブロッコリーは野菜の王様と呼ばれるほど栄養価が高い野菜です。ブロッコリー自体も非常に健康面に有用なのですが、注目したいのはブロッコリースプラウトに含まれる「スルフォラファン」というファイトケミカル(野菜など植物に含まれる化学成分)です。
近年の研究によってスルフォラファンには、糖化が起きると老化や病気のもとになる物質といわれているAGEsを抑える働きがあることが判明しつつあります。1/2パックを食べるだけで効果があると聞き、スーパーで見つけたときには買って食べるようにしています。スルフォラファンは60℃くらいでその働きが低下するといわれているので、サラダなど生で食べるのがおすすめです。
――AGEsを抑える効果的な方法がありましたら教えてください。
工藤先生 体全体のAGEsのうち、約3分の1が食べ物由来だといわれています。特に40歳を過ぎると、若いころに食事で体内にAGEsを多くため込んでいた人は老化のスピードが速まり、糖尿病や高血圧といった生活習慣病になる人も増えていきます。
AGEsのもとになるのは糖です。お酢やレモンには血糖値を抑えてAGEsを下げる効果があるといわれているので、私は調理の下処理でお肉などをお酢やレモンに浸けるようにしています。
また、AGEsは加熱する温度が高いほどより多く発生するため、揚げ物や炒め物はAGEsが大量に発生します。調理法は「蒸す」、「ゆでる」、「煮る」がおすすめです。
――手軽にできる老け対策がありましたら教えてください。
工藤先生 口角を上げると脳が幸せな状態にあると勘違いをしてくれるんです。生活習慣に気を付けるためには、気力も必要ですから。たとえ作り笑顔であっても口角を上げて、前向きな気持ちになることは大切なんですね。
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※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
<著書>
『見た目が若い人が密かにやっている食べ方の基本! 若返りの栄養学ゆる図鑑』工藤あき/監修 宝島社 1430円
ウーマンカレンダー編集室ではアンチエイジングやダイエットなどオトナ女子の心と体の不調を解決する記事を配信中。ぜひチェックしてハッピーな毎日になりますように!
取材・文/熊谷あづさ
ライター。1971年宮城県生まれ。埼玉大学教育学部卒業後、会社員を経てライターに転身。週刊誌や月刊誌、健康誌を中心に医療・健康、食、本、人物インタビューなどの取材・執筆を手がける。著書に『ニャン生訓』(集英社インターナショナル)。