肺の手術後、強い不安が襲ってきて…
抗がん剤を数カ月投与したのち、ホルモン剤(中用量ピル)の服用に切り替えて、侵入奇胎(※)の治療に励んでいる月野ねこさん。そんな中、今度はCT検査で肺に影が見つかってしまいます。「子どもたちのためにも早く治療を受けてほしい」との夫の強い希望もあり、医師から説明を受けた2日後に、肺の手術を受けることが決まりました。
手術当日は3〜4時間かけて肺の腫瘍を切除し、切り取った部分は、良性か悪性か調べるための検査へと回されました。手術翌日、月野ねこさんは体の痛みや気持ち悪さに加え、がんが転移したのだと考えると、何もかもがつらくなってしまい……。
※侵入奇胎とは、胞状奇胎(異常妊娠・絨毛性疾患の1つ。本来は胎盤になるはずの絨毛が異常増殖し、ぶどうのような粒がたくさん子宮内に発生する)の細胞が、子宮内の筋肉や血管内に侵入した状態のこと。前がん段階といわれている。
手術前の説明書に書かれていた月野ねこさんの病名は、『右中葉肺結節(転移性肺腫瘍疑い)』というものでした。月野ねこさんの患っている侵入奇胎は、いわば“前がん状態”なのですが、侵入奇胎になったケースのうち約30%が、肺に転移すると言われています。CT検査だけだと腫瘍が良性か悪性かを判断するのが難しいため、月野ねこさんのように肺に影が見つかった場合は、手術で病変部分を切り取って病理検査(顕微鏡で細胞を調べる検査)で診断されます。
ーー手術説明書にも“転移性疑い”って書かれているし、肺に見つかったものは、どう考えたってがんだ。転移したんだ……。
手術後、HCU(高度治療室。ICU:集中治療室よりも、救急度の低い患者さんが入室する病棟)に移された月野ねこさん。手術をしたところがズキズキと痛み、酸素マスクは息苦しく、体中につながった管が気持ち悪くて仕方ありません。加えて、腫瘍の正体や今後の治療が気になり、何もかもがつらくなってきて……。ついに泣き出してしまいました。
すると、泣きじゃくる月野ねこさんをやさしくなだめてくれたのは、ひとりの看護師さんでした。
「月野さん、たくさん頑張ってきたね。何も我慢しないでいいんだよ。痛かったり吐きそうになったりしたら、すぐに私たちを呼んでね。これからは私たちが一緒にサポートするからね」
これ以上ないほどに苦しい状況で、やさしく声をかけてくれた看護師さんに、当時の月野ねこさんは心から救われ、今でも看護師さんには感謝しているそうです。これまで、抗がん剤治療で何度も入退院を繰り返してきた月野ねこさん。今回の入院生活でも精神的につらくなるときがあると思いますが、不安を極限まで溜め込んでしまわないよう、もっと周りの医師や看護師に相談すると、少しは気持ちがラクになるかもしれませんね。
監修/助産師 松田玲子
月野ねこさんのマンガは、このほかにもInstagramで更新されています。ぜひチェックしてみてくださいね♪
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