長期戦となる治療の始まり
2021年の春、子宮全摘手術を受けたしまむらゆきえさん。きっかけは43歳ごろに子宮筋腫が巨大化し重症貧血になったことでした。実は以前から子宮筋腫はあったものの6cmほどの大きさで経過観察となっていたのですが、42歳のころに経血が水っぽくなり量が増え、43歳を過ぎたあたりで生理になるとレバー状の血の塊が出るように。
44歳になったしまむらさんは「これはおかしい」と思いながら婦人科の定期検診に訪れます。すると、子宮筋腫が10cmほどの大きさに肥大し、過多月経になっていると言われてしまったのです。さらに医師から顔色が悪いと言われ血液検査を受けたところ、ヘモグロビン値は6.9g/dlで「重症貧血」との診断が下されます。その後、医師から今後の治療方針についての提案が。一旦はホルモン剤や鉄剤で子宮筋腫と貧血の治療を進め、良きタイミングで大きな病院に転院して本格治療を始めることになりました。
産婦人科医と相談し、数あるホルモン剤の中から、しまむらさんは「レルミナ錠(子宮筋腫の治療薬として認められているホルモン剤)」を選択し、鉄剤とともに服用を開始。エストロゲンを低下させて閉経状態にする作用があるレルミナ錠は、子宮筋腫の縮小が期待できる薬です。貧血や月経過多にも非常に有効ですが、副作用としてのぼせや発汗、抑うつなど、更年期に似た症状が出るおそれがあります。
子宮筋腫と判明しても今すぐ手術するほどの緊急性がないときは、経過観察となるか、内服や注射で長期的に治療をします。具体的な治療法としては、リュープリン注射やレルミナ錠、ミレーナ、低用量ピルなどです。しかし、筋腫のサイズが10cmを超えたときや、過多月経や疼痛で生活に支障が生じている場合は、手術を検討しなければなりません。その際、ホルモン剤を一定期間服用して、ある程度筋腫を小さくしてから手術に移行するケースもあります。
このように、子宮筋腫では「閉経間近だからホルモン剤で更年期状態にしてもいい」「妊娠を希望しているから子宮全摘は避けたい」など、その方の年齢や体質、状況に応じて、最適な治療法が異なります。自分に合った治療法を信頼できる医師と一緒に考えることが大切です。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
監修/助産師 松田玲子
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