「誰の仕業？」毎週、自転車のカゴに食べカス…夫が突き止めた犯人とは！？

 

私たち家族は歩道に面した家に住んでいます。歩道側の敷地内には自転車を停めているのですが、毎週火曜日になると自転車のカゴにゴミを捨てていく人物がいるのです。ゴミの内容は決まって、ツナマヨおにぎりの食べカスとお茶のペットボトル。

 

毎週水曜日の朝に、どこかの誰かが口をつけたゴミを拾って、自分の家のゴミ箱に捨てるというのはなかなか気持ちの悪いものです。

 

ゴミを捨てられるのは嫌でしたが、家の中に自転車を停めておくスペースはありません。私は「『ポイ捨てやめて』と貼り紙でもする？」と夫に提案していましたが、「それはやめよう」と却下され、対策をすることもなく、仕方なく我慢していました。

 

しかし、あるときから自転車のカゴにゴミが入っていることがなくなったのです。私は「犯人が引越しでもしたのかな？」とホッとして、そのうちポイ捨てのことは忘れてしまいました。

 

そんなある日、「話がある」と言って夫が声をかけてきたのです。口元は少し笑みが。そんな夫を見て「何かいいことがあったんだろう」とのほほんと構えていたのですが、夫がタンスの上から持ってきたのは謎のビニール袋でした。

 

その中身を見て、私は衝撃を受けました。ビニール袋の中には「おにぎりとペットボトルのゴミ」がいくつも入っていたのです。

 

自転車の中に捨てられていたゴミは、捨てられなくなったのではなく、夫によって保管されていたのでした。

夫は毎週火曜日にゴミを捨てる人物を歩道を挟んだ向かい側から監視していたそうです。そして、ゴミが捨てられたのを確認して、それを回収していたそうで……。

 

夫によると、ゴミを捨てていた人物は、酒に酔った様子でフラフラと歩いてきて、わが家までの道のりで調整していたかのようにピッタリとおにぎりを食べ終えると、慣れた手つきでわが家の自転車カゴにゴミを捨てていくのだそう。

 

夫はゴミでパンパンになったビニール袋を見ながら「来週きたら、これを相手に見せて注意するんだ！」と言いました。「怖い人だったらどうするの？ 危ないかもよ」と私が心配しても、夫は「やられたままではいられない」と気持ちを抑えられない様子。

 

ですが、それ以降ゴミ捨ての犯人が現れることはなく、夫は直接対決を果たせずにいます。私はドキドキした気持ちで、“Xデー”がくるのを待っているところです。

 

 

普段は温厚な夫の意外な一面に驚くとともに、知られざる夫の激しさをおもしろく感じています。不条理なことにきちんと抵抗できる夫の勇気が誇らしいような、でもやっぱり心配なような複雑な気持ちです。しばらくは、そんな夫のことをそっと見守っていようと思っています。

 

著者／つちやです