ナプキンのことしか頭になく…
授業が終わったあとの休憩時間、いつも通りトイレに行って用を足し、トイレットペーパーで拭いたとき、ぬるっとした感じがしました。ショーツを見ると真っ赤な血が。ショーツが濡れている感じはありましたが、まさかの事態に私は驚いてしまいました。
トイレットペーパーについたものを見てすぐに生理がきたんだと理解しましたが、問題はそこから。
初潮がまだだった私は、生理を他人事だと思い、ナプキンを持ち歩いていなかったのです。トイレの個室でパニックになってしまいましたが、「保健室で事情を説明したらナプキンを貸してもらえるかも」と思いつき、ショーツにトイレットペーパーを当てて、慌てて保健室に向かいました。
聞こえたのは「キモい」「臭い」の声
ナプキンを保健室から借りて、ホッとして放課後を迎えたのも束の間。トイレに行こうと思ったら、清掃当番の子たちが1つの和式トイレに群がっていました。
どうしたのと声をかけようとしたとき、「うわ、最悪。流し忘れ」と聞こえました。同時に私はハッとしました。彼女たちが集まっていたのは、先ほど私が入っていた個室。初めてで突然の生理にパニックになり慌てて保健室に行った私は、トイレを流し忘れてしまっていたのです。
「彼女たちがいなくなったらこっそり流そう」と思い、私はとりあえず空いていた個室へ。保健室で借りられたナプキンをつけていると、「生理なのに流し忘れとかキモい。掃除する側の気持ち考えろ」「てか臭いんだけど」という彼女たちの言葉が聞こえてきて……。
自分が悪い、でも…
もちろん、流し忘れてしまった自分が悪いのですが、聞こえてきた言葉にショックを受けてしまった私。こっそり流そうと思ったことも忘れて、逃げるようにトイレを出てしまいました。
流し忘れたことへの後悔、恥ずかしさ、彼女たちに不快な思いをさせ、掃除をさせてしまった申し訳なさ、強い言葉が刺さった悲しさ……など、私の心の中ではさまざまな感情が入り混じって複雑な思いでした。
大人になってから、私は出先のトイレで生理中の流し忘れを見かけたことがありました。そのとき、自分の過去をふと思い出し、「この人もわざと流し忘れたわけではないのだな」と感じて……。そっと黙って流しました。
私自身、この流し忘れのことがあってから、トイレを出る前には絶対に便器の中を確認し、流し忘れないように心がけるようになりました。忘れたい思い出ではありますが、次に失敗しないようにと心がけられるようにもなったので、いい経験をしたなとも思うようにしています。
著者/山本まや
作画/ちゃこ
監修/助産師 松田玲子
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