夫の譲司と2人で暮らす美弥子。
譲司は近所に住む4歳の少女、沙里が気になるようで……!?
夫は不審者…?
近所に住む佳世と久々に話をした美弥子。
以前は仲良くしていたものの、佳世の離婚をきっかけに、2人は疎遠になっていました。
さらに、佳世は美弥子の夫・譲司に不信感を抱いているようでした。
「あの男気持ち悪いのよ。うちの娘をチラ見してたとかじゃないわよ、立ち止まってじ~っと見つめてたの」
美弥子は人違いではないかと言いますが、佳世はヒートアップするばかり。
「きっと怪しい性癖を持ってるに違いないわ!こんなことして、通報されても文句言えないわよ?」
美弥子は佳世に謝るしかなく、譲司に話を聞くのでした。
しかし、美弥子が注意しても、譲司は出かけるたびに沙里のことをじっと見つめています。
「子どもに話しかけただけで通報される時代なのよ、じっと見つめるなんて行為、怪しすぎる。もう沙里ちゃんに関わるのは禁止だからね」
美弥子が口を酸っぱくして言っても「子どもがひとりでベランダにいるなんて危なくない?」と、譲司はなんだか腑に落ちない様子。
しかし、美弥子に「だから、その不審者だと思われてるのが譲司なんでしょ」と言い返され、譲司はようやく反省するのでした。
ついに警察沙汰に…
1週間後――。
昼に散歩に出てから一向に戻ってこない譲司を心配し、連絡をとる美弥子。
「不審者情報があったんだけど、あなたじゃないよね?」
「今警察」
「え」
美弥子との約束を破り、譲司はまた沙里のことを見つめていたのでした。
「もうやめてって言ったよね!?」
「もしかして譲司、子どもを見るのがやめられないとか……?」
「だとしたら完全に病気だよ……」
さんざん忠告を繰り返してきた美弥子は、譲司に裏切られたことに失望を隠せませんでした。
少女のSOS
呆然としている美弥子に対し、譲司は沙里を見ていたのには理由があったと続けます。
譲司の話によると、譲司が沙里を見つめるよりも先に、沙里が譲司を見つめていたとのこと。
そして、沙里は譲司に口パクで何かを伝えようとしていたため、譲司はじっと沙里を見つめていたのでした。
「今日ようやくわかったんだ。沙里ちゃんはずっと、助けてって言ってたんだ」
譲司から沙里の状況を聞いた美弥子。
それから15分後、激昂した佳世が現れます。
「うちの子が不審者に襲われそうになって、ベランダから保護されたって警察から連絡来たのよ!異常者の夫を連れて、とっととこの町から出て行きなさい」
怒鳴り散らす佳世に対し、美弥子は淡々と返します。
「夫が娘さんを見ていたのには理由があるの。夫が逮捕されることはないわ、すぐに釈放されたそうよ」
美弥子は、沙里が譲司に助けを求めたと警察に証言したことを告げました。
さらに、佳世が仕事に行くと言って男と遊んでいたこと、沙里に十分な食事を与えていなかったこと、沙里に身体的な虐待の痕が見られたことが警察の捜査によりわかったと続けたのです。
それでもなおごねる佳世に対し、美弥子は譲司、沙里以外の証言者がいることも話します。「でっちあげだ」「全員許さない」とわめく佳世。
しかし、美弥子は勇気を振り絞って助けを求めた沙里ちゃんのサインを見逃さなかった夫を誇りに思うのでした。
その後、譲司は無事帰宅。
一方、佳世は警察に逮捕され、沙里は父親に引き取られました。
また、譲司は不審者としてではなく、育児放棄された子どものSOSに気付いた英雄として称賛を浴びることに。
美弥子も疑ったことを謝りましたが、譲司は笑って許します。
そんな譲司を見て、美弥子は「私は本当に素敵な人と結婚できたんだなぁ」と、あらためて実感するのでした。
自らが疑われてもなお、子どもの発するSOSのサインを無視しなかった夫。その行動が幼い少女の命を救ったのです。