夫の陽介、息子の大知と暮らす未希。
結婚後、家庭を顧みない陽介に不安を募らせますが、大知が生まれてからはその態度も顕著になり……。
息子との約束を破る夫
ある日、未希がスーパーへ買い物に行っている間に、息子の大知が帰宅。
予定よりも早い帰りに驚きつつも、未希は大知に合鍵を使って家に入るように言います。
大知は運動会のリレーの練習が中止になったため、早く帰宅したのでした。
「パパは運動会に来てくれるのかな」と言う大地に対し、未希は「今年は大地がリレーの選手になったから絶対見に来ると言っていた」と返します。
しかし、大知は陽介が自分と話してくれないこと、すぐに自分との約束を破ることを不満に思っていたのでした。
「ごめんね、パパお仕事が忙しいのよ」
「今回はちゃんと見に行くって約束してくれたの」
「ママとパパで大知のこといっぱい応援するからね!」
大知を励ます未希の言葉に、ようやく大知は元気を取り戻しました。
世間体ばかり気にする夫
1週間後の運動会の日――。
陽介は大知との約束を破り、運動会を見に来なかったのです。
陽介に大知が泣きそうだったことを伝える未希。
しかし、陽介にとってはどこ吹く風。
「へぇ、一応俺のこと好きなんだ?ほとんどかまってないのにさ、育ててやってる恩は感じてるんだな」
相変わらず息子に構うつもりのない陽介に対し、未希は怒りを見せますが、陽介は自分は仕事をしている、帰ってきてからもグチグチ言われたくないとの一点張り。
さらには、大知との時間だけでも作ってほしいと言う未希に、「俺別に子ども好きじゃないし。周りを納得させるために作っただけ」と返す陽介。
堪忍袋の緒が切れた未希は、ついに陽介に離婚を切り出します。
「離婚はしない、俺の経歴に傷がつくから。それに大知は俺のものだ。長男の息子なんだからうちの跡取りだって母さんたちが言ってたからな」
「子どもだろうが得するほうについていくに決まってるだろ、専業主婦もどきのお前との母子家庭なんて悲惨だからな」と、取り付く島もない陽介。
最終的に、離婚したとしても、陽介と未希のどちらについていくかは大知自身に選んでもらうことになったのでした。
母親思いの息子の本音
1週間後――。
大知は未希に、本当に離婚するのか、と質問します。
未希は大知のせいではないが、おそらく離婚することになると思う、と返しました。
「大知はママと来るよね?」
「パパについていく」
「え…?」
大知は自分と一緒に暮らすと、未希が大変になると思うから陽介についていく、と答えたのです。未希は陽介に何か言われたのかと聞きますが、大知は否定します。
「ママは大知と離れたくないんだよ?大知と離れるほうが悲しい……。ママが世界で一番大切なのは大知なの、だから大知の本当の気持ちを知りたいな」
未希が大知への気持ちをたっぷり伝えると、ようやく大知は「ママと一緒にいたい」と本音を話しました。
さらに、大知は「パパなんか怖い。ママにもぼくにもやさしくないもん……」と続け、陽介からいろいろと吹き込まれたことを正直に打ち明けるのでした。
数日後、未希と大知は2人で家を出ます。
怒る陽介に対し、またも離婚を付きつける未希。
陽介は、離婚後、未希についていけば、未希が暮らしていけなくなると大知に吹き込んでいたのです。
さらに、そのことを未希に話せば殴ると脅していました。
「あんた本気でなにしてんの」と怒りを見せる未希は、「陽介がいなくても問題のない」と突っぱねるのでした。
妻を脅す夫に…
それでも引かない陽介は、「このまま大知を返さないなら、うちの親に恨まれるぞ?」と未希を脅します。
しかし実は、未希はすでに陽介とのメッセージのやり取りを見せ、陽介の両親と話をつけていたのでした。
未希の浮気によって離婚すると両親に話していた陽介は焦り出します。
怒鳴りながら言い訳を並べる陽介は、「跡取りとして、大知は置いていけ」と言いますが、未希は「お義母さんたち、そんなことはどうでもいいって。愛情がないなら大知を引き取ることはできないって」と陽介の両親から告げられたことをそのまま伝えました。
両親に期待されていると思っていた陽介は、「嘘だろ……」と嘆くばかり。
大知のために離婚はやめようと未希に切り出しますが、未希はその申し出を突っぱねます。
後日、無事に陽介との離婚が成立し、大知と新たな暮らしをスタートさせた未希。
間に陽介の両親が入り、毎月養育費も受け取っています。
未希は、大知に後悔させないよう、今まで以上に愛情をかけて大知を育てていこうと決心するのでした。
子どもは大人の行動をよく見ているもの。自分のことを無視せず、愛情たっぷりに育ててくれる母親についていきたい、という本音を話せてよかったですね。