家の中や屋外でつまずき始める
50代になったころから、何もないところでつまずくようになりました。家の中を歩いていても屋外を歩いていても、何もないところでつまずくのです。
当初、つまずいたときには何につまずいたか原因を探していたのですが、いつも何もないことに気が付きます。家族は私がつまずくたびに「注意力が足りないからつまずくんだ」とか「もっと気を付けないとけがをして大変なことになるよ」「きちんと足元を確認して歩きなさい」などと心配してくれます。
しかし、気を付けようにも足元に何もないのですから気を付けようがないのです。ただ自分でも注意力はないなあと、否定的に考えるようになってしまいました。もしかすると、「もっと注意力がなくなって、つまずくだけでなく転んでけがしたらどうしよう」とか「このまま歩けなくなったりしないかな?」と不安になります。
すると、歩くのが怖くなり家の中でもあまり立ち歩かないように気を付けていました。外を歩くときも慎重にゆっくりと歩きます。転んだときに両手が使えるように、手持ちかばんからリュックサックに変えて、できるだけ手に何も持たずに歩くように心がけていました。
けれど、どうしてもつまずく回数が増えていきます。当時はつまずかないように、すり足のように歩くのが癖になっていました。けれど、つまずくことが減るかというと、むしろ回数は増えていったのです。
とうとう横断歩道でつまずいてけが
そんなある日、いつものようにすり足で買い物に行こうと歩いていると、なんと横断歩道でつまずいてしまいました。しかも、つまずくだけではなく転んでしまい横断歩道の上に座り込んでしまったのです。
そこに、運悪くトラックが左折で曲がって突っ込んできました。目の前にトラックのライトが見えて、恐怖と驚きで腰が抜けたように動けません。何とかトラックが急ブレーキをかけて止まったので事なきを得ましたが、もしトラックが突っ込んできたらと思うと、今思い出しても怖い体験でした。
ただ、周りから見るとかなり恥ずかしい格好になっています。横断歩道に座り込んでトラックが止まっているのですから、目立たないわけがありません。トラックの運転手さんも出てきて、声をかけてくれました。
しかし、恥ずかしさが先に立ち、運転手さんへのあいさつもほどほどに逃げ出すように横断歩道から立ち去りました。そのときは、恐怖と恥ずかしさからその場を逃げ出すことしか考えられなかったのですが、落ち着いてみると手のひらやひじ、膝から血が流れてけがをしています。擦り傷程度で骨や筋などには問題なさそうでした。
家に帰って話をすると家族全員からまた「注意力が足りない」と注意され、その上「病院に行きなさい」と言われました。家族が心配してくれているのがよくわかりました。
原因は加齢による筋肉の低下と判明
家族のすすめもあって、手のひらと肘、膝のけがと骨に異常がないかを診てもらうため、近くの整形外科を受診しました。まずはエックス線を撮り、その後診察です。診察室では先生がエックス線を見て、骨に異常がないと言われたのでホッとしました。問診時に、2〜3年前から何もないところでつまずくことを話すと、注意力が落ちているためではないかと言われました。
では何が原因かというと「足腰の筋力の低下が原因である」と診断されたのです。足腰の筋肉が弱っているとしっかり足を上げることができず、擦り足で歩くようになることで、何もないところでつまずくようになるそうです。私の場合、つまずかないように意識して擦り足で歩いていたことが、足腰の筋力の低下を早めてしまっていたようです。このまま、年を重ねると足腰の筋力が低下し歩かなくなり、さらに筋力が低下すると言う悪循環が発生します。
そこで、先生から教えてもらった対策が「ストレッチ」と「食生活の改善」です。ストレッチは、膝を持ち上げる腸腰筋と膝の曲げ伸ばしに使う大腿四頭筋、踏み込む足底筋を鍛える内容です。食生活は減っていく筋肉を補えるように意識し、鶏ささ身肉、牛もも肉、豚ロース肉などの肉類、いわしの丸干しや赤身の魚などたんぱく質がたくさん入っている食品を積極的にとることをすすめられました。
それからは、ストレッチは空いた時間に30分できるだけ毎日おこない、食生活もたんぱく質を意識してとるようにしています。意識して3年目、今では何もないところでつまずくことが減り、外出するのも怖くなくなりました。
まとめ
何もないところでつまずくのは、足腰の筋力低下だということがわかりました。病院で教えてもらった腸腰筋、大腿四頭筋、足底筋を強めるストレッチとたんぱく質を含んだ食事を意識して、歩くときはしっかりと足を上げることを意識して生活することを心掛けています。
以前よりはつまずく回数も少なくなってきたことで外出するのが楽しくなり、明るくなったと家族からも言われます。つまずくことが減り、なくなっていた自信が回復して地域の行事などにも積極的に参加できるようになり、友人も増えました。
これからもストレッチで筋力アップを続け、たんぱく質をしっかりとる食生活を送っていきたいと思います。
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※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
イラスト/塩り
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