美咲(みさき)は、会社員の夫・太一(たいち)と夫婦共働きで暮らしています。結婚当初から嫁いびりをしてきた義母とは、すっかり疎遠になっていました。ある日、太一からそんな義母に関する予想外の相談をされてしまい……。
その相談、本気で言っている?
最近の太一は残業続きで、本当に忙しそうです。美咲は太一の体を心配し、転職を考えたほうがいいのではないかと提案してみますが、太一は今の会社で頑張るしかないと言います。そんなある日のこと、太一から「ちょっと相談がある」と持ち掛けられました。心当たりもなく、なんだか改まった雰囲気が怖いと感じてしまった美咲は、「一体なんの相談なの?」と尋ねます。
すると、太一の口からは予想もしていなかった言葉が……!
「実は、母さんと同居してくれないかなって……」
「そういう相談なんだけど」
義母は、足腰が弱くなってきて一人では暮らせないと太一に相談してきたようです。義父の遺産もすでに使ってしまい、簡単に新しい住まいを探せる状況でもないらしく……。
しかし、結婚当初からやることすべてに義母に文句をつけられ、嫌な思いをたくさんしてきた美咲にとって、同居なんて考えられません。太一にあらためて無理だと言うと、同居ができないなら仕送りをしたいと相談されました。決して気持ちよく出せるわけではありませんが、それで同居をしなくて済むなら……と、美咲は渋々仕送りをすることに納得しました。
同居の代わりに仕送りをしているはずなのに!?
仕送りを決めてからしばらくして、しおらしい声で義母から電話がかかってきました。
「あなたに今までのこと謝りたくて」
「とっても最低な言動ばかりで、今考えると本当に恥ずかしいわ」
思いがけない言葉が出てきて驚く美咲に向かって、義母は1つだけお願いがあると言ってきます。
「同居の話考えてくれないかしら?」
たとえ今までのことを謝られても、美咲にとって受け入れることができないお願いでした……。
「無理なので仕送りさせてもらってるんですが……」
「仕送り? 貰ってないわよ?」
半年前から同居をしない代わりに、太一が毎月5万円の仕送りをしているはずです。最初は義母がウソをついていると思っていた美咲でしたが、よく話を聞くと同居の話も半年前からではなく、今初めて相談したと義母が言うので困惑してしまいます。
一体どういうことなのでしょうか……?
悪質すぎる夫の裏工作が判明!
義母と太一の話がかみ合わないことを不審に思った美咲は、興信所に依頼して仕送りの流れを調べてもらいました。そして判明したのは、太一が飲み屋で働く女の人に惚れ込み、借金をしてまで散財していたという事実。仕送りと言っていたお金は、借金の返済にあてられていたのです。
残業だと聞いていて、体のこともすごく心配していた美咲は怒り心頭。離婚を決意します。太一は最後までゴネていましたが、もともと美咲のことが気に入らなかった義母の説得もあって、無事に離婚が成立しました。離婚を喜ぶ義母に、美咲は太一の借金の事実を突きつけます。
「借金て嘘よね……? あの太一がそんなことするわけないわ……」
「これからも息子さんのお世話を頑張ってくださいw」
離婚後、美咲は新居で好きなことをやって生活をすることに。新たな人生を楽しむことにしたのです。一方、すでに義父の遺産を使ってしまっていた義母と、借金を作っている太一の生活は苦しいものでした。働きに出ることになった義母はストレスをため、義母と太一は毎日のように喧嘩をしているのだそうです。親子2人でこれ以上、誰にも迷惑をかけずに生きていくことをただ願う美咲なのでした。
義母には嫌がらせをされ、信じていた夫に裏切られた美咲さん。心のしこりはゼロにはならないかもしれませんが、真実がわかって新たな人生に進むことができてよかったですね。