「ボツリヌス菌」について知っておきたいこと

2017/04/12 19:00
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医療
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助産師REIKO
病気・ケガ
感染症

 

クックパッドベビーをご覧のみなさま、こんにちは。助産師のREIKOです。数日前より、話題となっている「ボツリヌス菌」。いろいろな情報が錯綜していて、何を信じたらいいの?という方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで今回は、「ボツリヌス菌」についてお話ししたいと思います。

 

ボツリヌス菌とは?

「ボツリヌス菌」は、芽胞をもつ嫌気性の細菌です。芽胞というのは、熱や薬、乾燥などに強い、細胞の構造のこと。煮沸や冷凍、アルコール消毒くらいでは完全に死滅しません。そして、嫌気性菌というのは、生きていくうえで酸素を必要しない菌をいいます。

 

この芽胞をもつボツリヌス菌がヒトの体内に入り増殖すると、ボツリヌス食中毒や乳児ボツリヌス症を発症する可能性があるんです。

 

その一方で、ボツリヌス菌のタンパク質の一種を利用した「ボトックス注射」というのも聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。ボトックス注射というと、アンチエイジングを思い浮かべるかもしれませんが、それ以外にも医療の現場で活用されているんですよ。

 

悪さをするのは1歳未満の赤ちゃんだけではない!

ボツリヌス菌は、土の中や海や川、湖などの泥砂などに分布しています。はちみつに含まれていることもあるということをご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、ボツリヌス菌を含んだ土を触ったり、土のついた食材をよく洗わずに調理したりすると、ボツリヌス菌が混入する可能性もあります。

 

国立感染症研究所の報告によると、ボツリヌス菌による食中毒は大人でも見られ、1984年には辛子レンコンを食べ、36人が食中毒となり、うち11人が亡くなっています。そのほかにも、いずしや缶詰のオリーブが原因というケースも。

 

乳児ボツリヌス症とは?

乳児ボツリヌス症は、1歳未満の乳児が菌の芽胞を摂取することにより、腸管内でボツリヌス菌が増え、産生された毒素の作用によって発症します。赤ちゃんはおとなに比べて、消化機能が未熟だったり腸内細菌叢が確立していないことも、乳児ボツリヌス症を発症してしまう要因といえます。

 

乳児ボツリヌス症は、発症までの潜伏期間が3~30日と長く、症状は、数日続く便秘、全身の筋力低下、哺乳力の低下などが挙げられます。

 

そして、国立感染症研究所によると、日本では、1986年に千葉県で発生した事例が最初の報告で、2012年5月現在で、 31症例が報告されています。1980 年代に発生した12症例はハチミツを摂取したことが原因だったと考えられていて、1987年10月には、当時の厚生省(現 厚生労働省)から「1歳未満の乳児にはハチミ ツを与えないように」という指導が出されています。

 

ハチミツすべてにボツリヌス菌が含まれているというわけではないですが、因果関係が明確になっている以上、注意しないといけませんね。


妊娠中・授乳中は大丈夫?

妊娠中、ハチミツを食べたら、おなかの赤ちゃんには影響はないの?と心配される方もいらっしゃるかもしれません。ですが、ボツリヌス菌がママの血液、胎盤を介して、赤ちゃんに移行することはないと言われています。また、母乳に関しても同様です。

 

ちなみに、先ほどお話ししたボトックス注射ですが、妊娠中、授乳中は投与しないよう、お薬の添付文章に明記されています。また、ボトックス注射をおこなった方は、2~4カ月ほど避妊したほうがよいそうです。

 

 

1歳を過ぎたからハチミツは大丈夫ということではなく、どんな食材でもやはり初めて赤ちゃんに与えるときは、慎重に与え、その後の様子をしっかり見ておくことが大切なのではないかと思います。(TEXT:助産師 REIKO)


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