千秋(ちあき)は夫の洋一(よういち)と小学3年生の娘・莉子(りこ)と暮らしていましたが、ある日突然、莉子が家では喋らなくなってしまいました。病気ではないかと心配する千秋に反して、洋一は「放っておいたら良いんだ」と楽観的。しかし、やはり何が原因があるのではと思った千秋が、とある方法で莉子とコンタクトを取ってみると、そこには衝撃の事実が隠されていたのでした……。
突然喋らなくなったのは病気?
娘の莉子が家で喋らなくなってからそろそろ1週間が経ちます。
調べてみると、急に声が出なくなる病気もあるようで、千秋は病院に連れていくべきかどうか、洋一に相談しました。しかし、洋一は「そのうち治るってw」と楽観的……。どうやら洋一は、莉子が喋らないのは家だけで、学校では普通に過ごしているということを莉子の友だちのママから聞いたのだとか。まったく喋れないわけではないのだから過度な心配は不要だと思っているようです。
それよりも、多感な時期だからあまり莉子に無理強いしないようにと洋一に言われ、千秋は莉子への接し方を自分なりに考えていました。
喋らない理由は…
莉子への接し方に悩んだ千秋が出した結論は、手紙を書くということでした。手紙なら、喋らなくても自分の思いが伝えられると、早速実行します。すると、思いのほか莉子からの反応は早く、千秋のスマホにLINEのメッセージが届きました。
「ママ、お手紙よんだよ。うれしかった。ありがとう」
千秋はすかさず返信しました。
「莉子がメッセージをくれるなんて思わなかった。ママすごく驚いてる。ありがとうね」
そうしてやりとりをしているうちに、自分と話したくないわけではないと分かった千秋は、理由を聞いてみることに。
「ねえ莉子」
「なんでママとお話できないの?」
「LINEでしか喋ってくれないのはなんで?」
すぐにその理由が送られてきました。
「わたしがだまってたらこれからもママとくらせるから」
「え……?」
千秋はもちろん意味が分かりません……。莉子は教えるとパパに怒られてしまうとも言っています。
莉子を刺激しないよう、千秋はゆっくりと詳しく事情を聞いてみることに。「パパが何を言ったかわからないけれど、ママはずっと莉子と一緒だから大丈夫」と伝えたのです。
「ほんと?」
「ママとはなれないなら教える……」
そして、衝撃の事実が発覚したのです……!
娘を苦しめていたのは夫だった…!
「パパがね、真理ちゃんのママと2人で遊んでるの見たの」
莉子が喋らなくなった理由は、洋一の不倫現場を目撃してしまい、それを口止めされていたからだったのです。「ママに喋ったら、ママが家から出て行ってしまう」という洋一の言葉を信じ、莉子は喋ることを拒否していたのでした。しかも、不倫相手は莉子の同級生のママ。千秋は真理ちゃんの家に行き、旦那さんと一緒にママを問い詰め、証拠の写真をおさえました。そして洋一に離婚を言い渡しました。
離婚を頑なに拒む洋一でしたが、状況を理解した莉子に諭されたことで、渋々離婚届けにサイン。千秋は慰謝料と養育費を洋一に請求し、莉子を連れて実家に引っ越しました。もちろん、不倫相手だったママ友からも慰謝料をもらい、そのママ友も離婚したようです。洋一と離れた莉子はこれまでどおりの元気を取り戻し、たくさん喋ってくれるように。そんな莉子を見て、千秋は一安心。そして莉子が、自分の意思で好きなことができる環境でいることを喜ぶのでした。
一番娘に寄り添って欲しい夫が娘を苦しめていたなんて、信じられませんね。しかも、その理由が自分の保身のため……。今回は、諦めずに手紙でコンタクトを取ろうとした千秋の判断が、功を奏しました。早く気づけてよかったですね。