しかしそんなある日、息子から夫が浮気しているという話を聞かされた加奈子は、夫をお酒で酔わせて寝かせた隙をつき、夫のスマホをチェック。それ以降、夫に嫌味を言われても、何も反論しなくなってしまったのでした。
それから数日後、夫の会社の懇親会が開催されることになり、加奈子は夫と参加することに。会場へ着き辺りを見回した加奈子は、オレンジ色のワンピースを着たひとりの女性に視線を向けていました。その女性がトイレに行ったタイミングで、その後を追った加奈子。
メイクを直す女性に話しかけ、軽く自己紹介を済ませると、「好きですか?夫のこと」と女性に質問。さらに、「やめておいたほうがいいと思いますよ?」と付け加えるのですが……?
「やめておいたほうがいい」という妻の言葉を聞いた女性は?
「あの人、あなたが思っているような人じゃないから」
「あの……どういう意味ですか?
なんのことだかさっぱり」
「家でのあの人は、傲慢で自己中心的で
ナルシストで、女を都合のいい世話してくれる
道具としか思ってない最低な男だから」
その言葉を聞いた瞬間、感情的になる女性。
「それ、奥様に対してだけでは!?」
「私には紳士的でやさしいです!!」
女性の言葉に対して何も言わず、
ただ穏やかな表情を浮かべる加奈子。
「あ、あくまで仕事上での話ですけど!!」
加奈子の表情を見て思わずハッとなった女性は、
慌ててそう付け加えたのでした。
◇ ◇ ◇
「家でのあの人は……」という言葉を聞いた瞬間、カチンときてしまい反論していた女性。感情をあらわにして、加奈子に嚙みつくような反応をしていたことからも、夫に好意を寄せていたことが予想できます。加奈子の悟ったような表情をひとつも変えない反応を見て、慌てて「仕事上での話」だと付け加えていましたが、加奈子にはこの女性と夫との関係が分かっていたのかもしれませんね。