自分を裏切った夫に強い悲しみと怒りが込み上げた加奈子は、夫の会社の懇親会で浮気の写真をビンゴの景品のくじの封筒に紛れさせ、会社の人たちに夫の失態を知ってもらうことを思いつきます。そして、懇親会当日、それを実行することに。
すると、加奈子の想定通り、会場は一時騒然に!夫の信頼は地に落ちてしまったのでした。
懇親会の一件があってから、帰宅しなくなってしまった夫。しかし、1週間が経過すると、突然夫が離婚届を持って家に帰ってきたのです。加奈子が離婚届にサインをして渡すと、夫は「もう帰らない」と言ってその場を去ろうとしたのです。加奈子が息子に何も言わないのか?と聞くと、「会いたくない」という言葉が言ってきて……?
夫に妻の言葉は響かず…
「想太だって俺みたいなかっこ悪い親父には
愛想してるさ」
「そんなの!勝手に決めつけないでよ!!」
しかし、夫は加奈子の言葉をさえぎると、
玄関のドアに向かって歩き出しました。
「今までありがとうな」
夫の言葉を聞くと、何も言わずに
無言で立ち尽くす加奈子。
「……あとさ、今の加奈子、俺にそっくりだよ」
別れ際、夫は加奈子にそう言ったのでした。
◇ ◇ ◇
もちろん息子に会わないで出て行こうとすることに対し、加奈子は必死で説得しようとしていましたが、夫の決意は変わりませんでした。夫に「今までありがとうな」と言われたとき、何も言わずそのまま立ち尽くしていましたが、あれだけ離婚したいと思っていたのにもかかわらず、いざ別れの瞬間が来ると、いろいろと複雑な心境になってしまっていたのかもしれません。