「もしもあのとき、宝くじが当たらなければ…」そんな考えが妻の頭をよぎって #宝くじで3億円当たりました 154

加奈子は自分を裏切った夫に復讐するために、夫の会社の懇親会で浮気の写真をばらまき、会社の人たちに夫の失態を知ってもらうことを思いつきます。そして懇親会当日、それを実行することで、会社内での夫の信頼は地に落ちてしまいました。

そして、夫と加奈子は離婚することになるのですが、加奈子は息子に離婚したことを話せずにいたのでした。離婚が確定すると、加奈子は宝くじの当選金を受け取りに銀行へ。無事3億円が記載された通帳を渡されるのですが、3億円には一切手をつけず、加奈子は新たな職場で働くことに。

そんなある日、帰宅するとテストの点数が満点じゃなかったことから、息子から謝罪を受けた加奈子。さらに、息子は「前はお父さんに聞けたんだけど」と付け加えると、「お父さんまだ忙しいって？」と質問をしてきたのです。今にも泣きそうな寂しそうな表情を浮かべる息子に胸が締め付けられた加奈子でしたが、どうしても息子に本当のことが言えなくて……。

「わっ！そっか……！今日は花火大会だった！」

「お父さんもどこかで花火を見ているかな……」

その言葉を聞くと、一瞬固まってしまった加奈子。

実際、加奈子は3億円を手に入れることができ、

念願の離婚ができて万々歳！といった状況のはずなのに、

一切喜ぶことができず、心の中はぽっかりと

穴が開いたような感覚になっていました。

（もしもあのまま宝くじに当たらなかったら、

私の気が大きくなることもなく、

あの人の浮気がわかることもなかった）

花火を見ながら、加奈子はそんなことを

考えていたのでした。

◇　◇　◇

息子の言葉に胸を痛め、思わず「宝くじがもし当たっていなければ……」という未来を想像した加奈子。きっと加奈子の中で1番引っかかっていたのは、"自分の行動のせいで息子と夫を引き裂いてしまった"という罪悪感だったのではないでしょうか。結婚生活中は夫の存在に疲弊していましたが、失って初めて別の角度から物事を見られるようになり、夫の存在意義に改めて気付いたのかもしれませんね。

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