貯蓄性のある生命保険の多くが2017年4月まで値上げしたり、販売停止になったりしたことは、過去のコラムでもお伝えしました。ご存知の方もいらっしゃると思います。しかし、どのような影響があるか、今後どのようにしたらいいか、分からない方もいらっしゃると思いますので、今後の学資保険の考え方についてお伝えしていきます。
1.すでに加入している方は保険料値上げはなし
生命保険は加入時に支払う保険料や、受け取るお祝い金・満期保険金が決まっているため、加入時に途中で保険料が上がる設定がない限り、今回の値上げを受けて保険料が変更になることはありません。そのため、値上げ前に学資保険に加入された方は、今回の値上げの影響で保険料が上がることはありません。
この内容は、学資保険に限らず、貯蓄性のある終身保険・養老保険・個人年金等でも同様ですので、ご自身が若い時期に入った生命保険や親御さんが子どものころからかけてくれている生命保険で、貯蓄性のある生命保険があれば、現在改めて入るより利率が高いことが多いので、保険料の負担に無理がなければ、内容を確認されたうえで継続することをおすすめします。
2.学資保険を検討される方は加入の目的を考えて
これから学資保険や貯蓄性のある保険に加入する場合には、値上げ後の保険料が適用されるため、受け取るお祝い金・満期保険金を以前と同じとすると、保険料は値上げ前より高くなります。
保険の内容によっては、支払った保険料総額より、受け取れるお祝い金・満期保険金が少なくなるものありますので、他の積立方法を合わせて検討してみてください。他の積立方法については、“学資保険でなくてもいいの?教育資金の積立方法” に、学資保険とは別の積立方法を4つご紹介していますので、ご参考にしてください。
なお、学資保険の目的は主に3つあります。
①定期的(毎月、毎年等)にお子さんの将来の進学費用を効果的に積み立てするため
②生活費等とお子さんの将来の進学費用を分けて管理するため
③親御さんが亡くなった際にもお子さんの将来の進学費用を確保するため
①~③をすべて兼ね備えた積立方法は、学資保険や貯蓄性のある生命保険にしかない機能ですが、①と②はその他の積立方法でも可能ですし、③は掛け捨ての生命保険や遺族厚生年金などを組み合わせれば対応ができます。
すべての方に学資保険が不要になったわけではありませんが、学資保険の保険料が上がった現在では、お子さんの将来の進学費用を貯める場合、多くの選択肢からご自身に合った方法を選択していただければと思います。
1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等、多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。