骨が弱るとシワやたるみが増える
――前回は、骨粗しょう症が命に関わることもある怖い病気であるという解説をいただきました。骨粗しょう症によって、他にはどんな弊害が生じるのでしょうか?
中村先生 骨折をして寝たきりの時間が増えると筋力も体力も落ち、行動範囲が狭くなってしまいます。社会との接点がなくなるとネガティブな思考に陥りやすくなりますから、骨粗しょう症がうつ病の引き金になることは十分に考えられます。
また、多くの女性はいつまでも若々しくいたいと願っていると思うのですが、骨が弱くなると見た目は確実に老けてしまいます。
――それはなぜなのでしょうか?
中村先生 私たちの顔を支える土台となっているのは頭蓋骨です。骨粗しょう症などで骨が弱くなると、当然、頭蓋骨も弱ります。すると骨が小さくなってしまい、骨の上にのっている筋肉や皮膚は余ってたるんでしまうんです。
――それによって、シワやたるみができてしまう、ということでしょうか?
中村先生 顔の骨が小さくなると目の周りの骨が委縮し、くぼみが広がるため、目の下のクマやたるみ、目じりのシワ、頬のたるみなどが目立つようになります。また、骨が小さくなると余った筋肉や脂肪は重力によって下がってしまいます。その結果、ほうれい線のシワも深くなります。
ちなみに最近の研究では、顔の中でも特に、下顎の骨が一番、縮小しやすい部分であることがわかっています。
骨の健康を保つには自分の骨の状態を知ることが大切
――骨が弱くなると、見た目はどれくらい老化するものなのでしょうか?
中村先生 一概にはいえないのですが、人間の顔はほんの少し骨が変形するだけで見た目の印象がかなり変わるのは事実です。骨粗しょう症によって骨密度が減少し、シワやたるみが目立つようになると、実年齢よりも10歳以上老けて見られることもあるんです。
――いくら肌のお手入れをしても、骨が弱っているとあまり意味はないということですね。
中村先生 もちろん、みずみずしい肌を保つためにスキンケアは大切です。でも、若々しい肌と見た目を維持する一番の秘訣は、骨の老化を抑えることなんです。
――骨の老化を抑えるためには、どうすれば良いのでしょうか?
中村先生 まずは、自分の骨がどのような状態であるのかを知ることが大切です。骨は骨折によって痛みを感じるなど、よほどひどい状態にならない限り弱っているかどうかがわからない部分です。ですから、骨に関する検診を受けなければ、骨の状態を知ることができないんです。
――骨に関する検診はどういったところで受けられるのでしょうか?
中村先生 地方自治体によっては、節目年齢の女性を対象に骨粗しょう症の検診をおこなっているところがあります。また、性別や年齢を問わず、自治体の健康診断のオプションとして骨粗しょう症の検査を受けられる場合もあります。私のクリニックでは、希望者には自由診療で骨ドックをおこなっています。
骨ドックで骨粗しょう症予備軍と判明することも
――先生のクリニックで骨ドックを受けられる患者さんの中に、ウーマンカレンダー世代の女性はいらっしゃるのでしょうか?
中村先生 もちろんいらっしゃいます。60歳以上の患者さんは自治体の検診などで骨粗しょう症の検査を受けたことがある方が多いのですが、40代、50代の患者さんは未経験の方がほとんどなんです。腰痛や背中の痛みなどを訴える患者さんに骨ドックを受けてもらうと、骨密度が75%程度という結果が出る方も珍しくはないんです。
――骨密度75%というのは、どのような状態なのでしょうか?
中村先生 骨密度は、20~44歳の健康な人の骨密度の平均値を100%として、自分がどれくらいの値かを見るんです。骨密度80%以上は「正常」、70~80%未満は「骨量減少」、70%未満になると「骨粗しょう症」と診断されます。骨密度75%はギリギリの状態で、放置したままでいると数年後には骨粗しょう症になる可能性が極めて高いといえます。
自分の骨の状態を知ることができれば対策ができますから。特にウーマンカレンダー世代の女性の方には、骨粗しょう症の検診や骨ドックを受けることをおすすめしたいですね。
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※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
<著書>
『医者が考案した骨粗しょう症を防ぐ1分間骨たたき』中村光伸/著 アスコム 1300円+税
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