夫と共に暮らす祐実(ゆみ)。祐実の父は病気がちで、入退院を繰り返しています。しかし、義母の光代(みつよ)は頻繁に実家に帰る祐実をこころよく思っておらず……。
口うるさい義母
病気がちな父のために、夫の了承を得て頻繁に実家に帰っていた祐実。子どもの頃に母を亡くした祐実にとって、男手ひとつで育ててくれた父はかけがえのない存在でした。
しかし、それをこころよく思っていない義母の光代。「嫁入りした身で息子をほったらかすな」「家で家事をするのが嫌なだけでしょ」などと、いつもくどくどと言ってきます。
挙句の果てに、「どうせもう長くないんでしょ?」「下の娘の結婚式が控えてるのに縁起が悪い」と言い出す始末。あまりの言い様に、祐実は呆気に取られてしまいます。
祐実が「父が亡くなる前提で話すのをやめてほしい」と言っても、光代は「変な時期に亡くなってうちに迷惑かけないでって言っといて」ととりつく島もありません。「嫁の自覚がない」と散々言われた祐実は、半ば諦めた調子で「そちらにご迷惑はかけないようにします」と答えるのでした。
危篤の父の元へ
1カ月後――。
数日前から父の体調が悪化し、実家へ帰っていた祐実の元へ、光代から今週末に控えた義妹の結婚式に必ず参加するようにとの連絡が来ます。
「父の体調によっては義妹の結婚式を欠席するかもしれない」と言った祐実。しかし、光代の調子は相変わらず。「最悪なタイミングだわ」「迷惑な父親ね」と祐実の父の命を軽視する発言を繰り返します。
さらに、結婚式当日は親族の送り迎えや食事の準備、買い出しなどを祐実に押し付けるつもりのようです。
「結婚式の前に、お祓いでも行ってくれない?」「塩でも撒いてあげましょうか?」と祐実を疫病神扱いする光代に対し、祐実は言葉を失うのでした。
見放されたのは義母の方
5日後、義妹の結婚式当日――。
病院から祐実に、父が危篤との連絡が入りました。光代に事情を話し、父の元へ向かおうとします。
「父親が倒れたくらいで帰るな!」
「娘の式に参加しないなら息子と離婚させるわよ」
「じゃあ離婚で」
「旦那より父親を優先するなんて!」「やっぱりあんたは嫁失格だわ」と憤る光代に対し、祐実の堪忍袋の緒も切れてしまいました。「こんな時に結婚式なんかに行ったら私は最低の親不孝者になってしまいます」「嫁失格どころか、人間失格ですよ」と言い返し、病院へ向かったのでした。
しばらく経って――。
祐実は無事、父親を看取ることができました。「お義母さんの言うことを聞かず、父の元へきてよかった」と嫌味をこめて、光代に連絡した祐実。一方の光代は、「結婚式場に入れてもらえなかった」「娘に来るなって言われた」と騒いでいます。
実は、祐実は光代に言われたことを義父や夫、義妹に伝えていたのです。光代の非常識さに義一家は失望していたのでした。
夫と義妹は結託して光代を結婚式に参加させないようにし、義父は光代との離婚を決心。近々光代は家から追い出されることになっていたのです。
その後――。
義父に離婚され、家族から連絡を絶たれてしまった光代は、あろうことか、祐実の父の葬儀へやってきます。しかし、葬儀場に入る前に祐実の夫に見つかり、追い出されていました。一方、祐実は夫や義父、義妹の力を借りて、父の葬儀を滞りなく終えたのでした。
義妹の結婚式にも、祐実の父の葬儀にも参加拒否を食らった光代。祐実には、夫や義父、義妹と良好な関係を築き、幸せな日常を過ごしてほしいですね。