杏子(きょうこ)は夫の正明(まさあき)と2人暮らし。結婚後もバリバリ仕事をしており、夫よりも稼いでいます。もうすぐ大きな仕事がひと段落するので、久しぶりに夫とゆっくり過ごせるのを楽しみにしていたのですが……。
家具の話から子どもの話題に…
ある日のこと。杏子は「やっと仕事がひと段落したよー」と正明に連絡しました。「久しぶりに夕食作るよ!リクエストある?」と聞いたところ、「最近、残業続きだから今度一緒に食べられるときに作ってよ」と返ってきました。正明の会社はいつも定時に終わるのに珍しいなと思いつつ、話題は変わり……。
「そういえば、ソファをそろそろ買い替えたいから今度一緒に見に行こう」と言う杏子に対し、「子どもだってできるかもしれないから、大きいテーブルも欲しいね」と正明。杏子は「年齢も年齢だし、不妊治療を始めようかな」と言いますが、「無理にしなくていいよ。授かりものだし」と正明はあまり焦っていない様子。「自分たちのペースを大事にしよう」ということで、やりとりは終わりました。
朝起きると知らない女性がリビングに…
数週間後、杏子は朝起きてリビングへ。すると、知らない女性がいるのでびっくり!!女性から話を聞こうとしたところ、正明に聞いてほしいと言われ、「あの人誰?」と問いかけました。すると正明は、「怒らないで聞いて欲しいんだけど……あの女性は俺の不倫相手なんだ」と言うのです。しかも、「妊娠しているから一緒に住むことにした」とあり得ない発言まで飛び出します。
どういうことか分からない杏子に対し、「これには深い事情があってさ。彼女は働きすぎて倒れたんだけど、病院から絶対安静って言われたみたいで。家賃や生活費を払えなくなったから連れてきたんだよ」と言うのです。
不倫していたことも許せませんが、家に入れるのはあり得ないと話す杏子。しかし正明は、不倫相手の家の家賃は払えないから、ここに連れてきたと言います。そして、絶対安静という彼女のお世話をして欲しいとお願いしてきました。「お腹には俺の子がいるんだよ……」と言いますが、杏子には関係ありません。
杏子はこの状況に耐えられず、「出ていくから」と伝えます。正明は今日から出張のため家にいることができず……。ですが、杏子が面倒をみる義理はありません。しかも、「杏子と別れるつもりはない!ただ、不倫して妊娠させちゃったから責任をとっているだけで」と言うのです。
正明の話についていけない杏子は、女が出て行かないなら自分が出ていく、離婚して慰謝料を請求すると伝えました。すると、「離婚するなら、出張に行っている1週間だけ、面倒を見てほしい」と言い出します。1週間だけ、そして弁護士に書類を作ってもらうことを条件に要求を飲み込んだ杏子。正明の感覚が普通ではないことに呆れます。そして、正明は出張先へ向かったのでした。
いなくなった夫の不倫相手
数日後、正明から彼女とうまくやっているかという連絡がありました。杏子がしたことと言えば、食事と部屋の掃除のみ。彼女と話すことはありませんでした。しかし、彼女と話せば人柄の良さが分かるはずと言う正明。既婚男性に手をだす女性が良い人だとは思えない杏子。話し合っても平行線です。
「妊婦なんだから優しくしてやってくれよ?」
と念押しする正明に対し、
「あの人だったら捕まったよ」
「は...?」
どうやら彼女は結婚詐欺を繰り返しており、警察が把握しているだけでも3人はいるようです。正明は、結婚詐欺と聞いて信じられない様子。そして、妊娠も嘘でした。正明にはエコー写真を見せていたようですが、おそらくどうにかして用意したのでしょう。
警察の人曰く、結婚詐欺をした人に被害届を出されて、逃げるために正明を使ったかもしれないとのこと。彼女はお金に困っていること、小さい頃に両親を亡くして頼る人がいないと話すことで同情を買っていたようです。正明は杏子に謝りますが、今さら許せるはずもなく……。正明は離婚したくないと言いますが、これまでの事を考えると杏子にやり直す気持ちはありませんでした。
その後。杏子は義実家ですべてのことを説明し、正明と離婚することに。不倫相手を家に連れてきて杏子に世話をさせたことに、義両親も怒りを通り越して呆れていました。不倫相手の詐欺師はやはり警察から逃れるために、一時的に夫を利用しただけのようです。正明には借金をしてもらって慰謝料を払ってもらい、今はその返済に追われる生活を送っているとのこと。杏子は新たな幸せを見つけようと、前向きに暮らしています。
妻がいる家に不倫相手を連れ込み、面倒を見てほしいなんて都合良く考えすぎですよね。不倫相手に言い寄られ、子どもができたと聞いて舞い上がっていたのかもしれませんが、まずは家族である妻に対して思いやりのある行動をとってほしかったですね。