甘えたい盛りの幼少期、母親とまともに意思疎通できない状況に、つらい思いをしてきたわたしちゃん。クラスメートとの家庭環境の差を実感したり、素直に気持ちを吐き出せない生活に、ストレスが重なります。
小学校高学年のころは、太っていること、歯並びが悪いこと、肌が荒れていること、分厚いメガネをしていること……。見た目に劣等感を持つようになり、「家庭環境も悪い上に、醜いなんて不幸!」と感じ、「世の中は不公平だ」という気持ちが強くなっていったわたしちゃんは……。
少女の淡い期待は…
母が退院後しばらくすると、以前までケンカばかりしていた父と普通に会話し、メソメソはするものの怒鳴ることもなく、家事もするようになります。
穏やかな母の様子に、「もしや……このままよくなって普通のお母さんになるかも……?」とわたしちゃんは、期待していました。
しかし、淡い期待もつかの間。「こうしないと地震が起きるんだ」と、険しい表情でテーブルを叩く母の姿を目にします……。
服薬を続けられなかったせいか、妄想などの症状があらわれ、病状が悪化した母。期待していた分、ショックも大きかったわたしちゃんは、期待すること自体が怖くなってしまいます。
このころわたしちゃんは、人は誰しも、“幸せのコップと不幸のコップ”を持っていると感じていました。
「わたしの不幸のコップは満タンなのに、幸せのコップは空っぽだ。他の人は逆なのに!」
誰かが請け負わなければならない不幸があるとするなら、「他の人の不幸のコップに入ってね」と思い、自分が見舞われた小さな不運に対しても、「他の人の不幸のコップがもう少し増えたっていいじゃない!?」と、考えるように。
大人になったわたしは、「毎日つらい気持ちを我慢してたから、自分だけが不幸で損をしている気分がしちゃうよね」と、当時のわたしちゃんに寄り添います。
「どんなふうに感じる気持ちも、わたしちゃんの気持ちだからね」
やさしいわたしちゃんも、黒い感情を抱くわたしちゃんも、どれもわたしちゃんの気持ち。
「そんなふうに思っちゃダメ!」と思わずに、認めてあげることでラクになったと、大人になったわたしは感じるのでした。
幼少期の経験から、黒い感情にも目を背けず、認めてあげることで気持ちがラクになったと話す、大人になったわたし。過去を振り返ることでさまざまな気づきを得て、自分を責めず、自分らしく生きていく糧を身につけていきます。
皆さんは、幼少期の苦い思い出から学んだことはありますか?
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。