恵梨香は夫の誠と結婚してから、義母の嫌がらせとも思える行動にずっと耐えてきました。家に呼ばれたときは掃除などの家事をさせられ、その上イチャモンをつけられるという繰り返しに、うんざりしています。それでも強く出られないでいると、義母はさらに図に乗ってきて……。
相談もなく…突然の同居宣言
義母は年金生活者で時間にゆとりがあり、お友だちと年中遊びにでかけます。それなのに、いやそのためか家事をする暇がないらしいのです。恵梨香を休みのたびに呼びつけては家事をさせ、ダメ出しをしてそれを生きがいにしているようです。
ある日、心を決めた恵梨香は義母に正直な気持ちを伝えました。休みのたびに家事をするのは無理だと、はっきり伝えたのです。すると義母は、突然同居すると言い出し……。「一緒に住めば行ったり来たりすることもないし、恵梨香さんが仕事から帰宅したら家事を教えてあげられる」と得意顔です。「仕事の後にしごかれるなんて……」 考えただけでも、恵梨香はゾッとしました。
とりあえず、義母には返事はすこし待ってほしいとお願いしました。もうすぐ恵梨香の実母と旅行へ行く予定があり、夫の誠にも相談したいと思ったからです。ですが、義母は恵梨香の返答を待たず、しかも旅行の最中に、勝手に引っ越しを済ませてしまったのです。
空き部屋は…大きな誤算
今、恵梨香の家には空き部屋がありません。突然義母が引っ越してきたとしても、自室を作るのは難しく……。しかし、義母はすでに空き部屋を見つけたので、そこに自分の荷物を運び入れると言い出しました。
「空き部屋の荷物、邪魔だから出しておくわよ」
「ダメです、そこは私の母の部屋なんで」
「は!?」
義母には伝えていませんでしたが、恵梨香の家には彼女の実母が同居していました。それを知った義母は、それでは自分がくつろげない、何のための同居かわからないと文句を言い始めます。恵梨香の実母は義母の同居を歓迎しており、義母は恵梨香に家事を仕込むことを目的に同居すると言っていましたから、何も不都合なことはないはずなのに……。
実母と義母の同居がスタート
恵梨香の実母は、自分もついでに家事を習いたいと願い出ました。しかし義母がいつものようにあれこれ教えていると、実母は「違う違う」と言い、挙句の果てには「こんなこともできないんですか……」と逆にビシバシ義母をしごくのでした。偉そうなことを言っていた義母は、本当は家事が不得意だったのです……。
そして、あっという間に音を上げた義母は恵梨香に泣きつきますが、同情できませんでした。実母は以前から、義母の嫁いびりを恵梨香から相談されていました。よって突然の同居が決まったとき、これはチャンス!と意気込んだそうです。
これ以上辛抱できないと感じた義母は謝罪し、息子一家との絶縁を引き換えに、引っ越し費用を借りて出ていきました。少ない年金から返済しなくてはならないので、今では遊び歩くこともほとんどなくなり、自分で家事をしているようです。
一方の恵梨香ですが、義母のストレスから解放されるとすぐに妊娠し、来年には4人で新生活を始める予定です。
最終的に、恵梨香の母から家事を仕込まれることになった義母。 恵梨香の気持ちが少しはわかったのではないでしょうかーー。嫁と姑の間には年代の差による価値観の違いなどで大きな壁があったりもしますが、お互い少しずつ歩み寄りながら、良好な関係を保っていきたいですね。