記事サムネイル画像

「疲れやすい・だるい・やる気が出ない」は更年期症状なの?受診の目安は?【更年期の基礎知識6】

疲れやすい、疲れが取れない、だるい、やる気が出ないなども更年期の症状の1つですが、自己判断は禁物。必ずしも更年期の症状から来ているとも限りません。原因をきちんと調べ、必要な治療を受けるのがおすすめです。それらの症状には更年期症状なのか、ほかにどんな病気の可能性があるのか、何科にかかれば良いのかなど、産婦人科医の粒来 拓先生に聞きました。

この記事の監修者
監修者プロファイル

医師粒来 拓先生

日本産科婦人科学会 専門医・指導医。日本女性医学学会 女性ヘルスケア認定医・指導医。日本女性心身医学会 認定医。患者一人ひとりの症状と考え方に寄り添い、サポートしている。
新着記事が配信されたら、メールやプッシュ通知でお知らせ!

 

疲れが取れない、やる気が出ない場合は何が原因?

貧血、甲状腺機能低下症の可能性も

更年期には、疲れやすい、疲れが取れない、だるい、何もやる気が出ないなどの症状が出ることがあります。診療の中で相談されることが一番多いといっても過言ではなく、皆さんが悩んでいる症状といえます。

 

これは卵巣ホルモン、特にエストロゲンの分泌量が急激に減っていくことが原因です。ただ、全身のだるさや倦怠感は貧血、甲状腺機能低下症などから来ることもあり、何もやる気が出ないのはうつ病から来ているのかもしれません。まずは何が原因でその症状が出ているのかをきちんと診断してもらうことが治療のスタートとなります。

 

どんな状態だったら医療機関への受診が必要?

日常生活に支障が出るなら受診を

受診を悩んでいる女性

 

疲れやだるさ、やる気が出ないことで、家事も進まない、出かける気も起きない、自分で気分転換もできないなど日常生活に支障が出るようなら受診を考えましょう。

 

更年期にそれらの症状が出ているようなら、まずは婦人科に相談してみるのが良いでしょう。婦人科ではカウンセリングから働き過ぎ、気づかい過ぎ、睡眠不足、運動不足はないか、食事はしっかりとれているかなどを問診して、生活習慣の見直しを提案します。検査の結果や症状から他科の受診をすすめられることもあります。

 

 

婦人科以外の受診も必要?

症状によっては内科や心療内科、精神科への受診も

受診のイメージ

 

婦人科でおこなった検査で、貧血や甲状腺機能の異常がある場合、もしくは更年期症状以外の症状を伴った全身の疲れやだるさがひどい場合は、内科での治療がおすすめされます。何もやる気が出ない、食欲もないということであれば心療内科や精神科への受診も提案されます。

 

症状別4つの診療法とセルフケア

漢方のイメージ

 

【1】のぼせ・発汗が伴う場合はホルモン補充療法、漢方療法

のぼせ、発汗など、更年期のほかの症状も伴っている場合は、エストロゲンを体に補充するホルモン補充療法(HRT)が有効で、漢方療法も検討します。

 

漢方では、体の元気を補う“補剤”といわれる人参養栄湯(にんじんようえいとう)、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)などが有効である可能性があります

 

【2】貧血なら鉄剤の投与、甲状腺機能低下症なら甲状腺ホルモン剤の投与

内科では、貧血があるようなら鉄剤の投与、甲状腺機能低下症であれば甲状腺ホルモン剤が投与されます。改善されるまでに2~3カ月かかることもありますので、つらいかもしれませんが長い目で考えましょう。

 

【3】うつ病から来る症状なら抗うつ剤や補助的に漢方薬の処方も

精神科などでうつ病から来るものだと診断された場合は、カウンセリングと併用しながら抗うつ剤が処方されます。また、補助的に漢方薬を処方されることもあります。

 

【4】まずは頑張り過ぎないこと、そして規則正しい生活習慣を

セルフケアとしては、まず頑張り過ぎないことが大切です。20代、30代と同じように働くことは難しい体になりつつあるのが更年期。周りのため、家族のため、仕事のため、休まず働くのではなく、ぜひ自分のために自分のペースで動きましょう。状況的になかなか難しいかもしれませんが、常に余力を残すことが症状緩和のコツです。

 

また、規則正しい生活習慣を心がけましょう睡眠は6時間以上、糖分、油分は控え、ビタミン、ミネラルをたっぷりとって栄養バランスの良い食事と適度に体を動かすことが大切です。

 

 

更年期世代はうつ病を発症しやすい

悩むよりまずは受診を

うつ状態の女性

 

更年期の女性は、子どもの進路や夫との関係、親の介護や職場での責任、立場の変化、さらに加齢に伴う身体的な変化など、さまざまなストレス状況が重なり、それが女性ホルモンの急激な減少と複雑に絡み合うため、うつ病の好発年齢といわれます。実際、閉経前と比較すると罹患率がかなり高いというデータもあります。

 

うつ病の治療は薬物療法と精神療法でおこない、近年、依存性の少ない抗うつ薬も普及しています。悩むよりまずは受診するのがおすすめです。

 

まとめ

疲れやだるさ、やる気のなさで病院にかかるのは、なんとなくちゅうちょしてしまうこともありますが、それらが原因で日常生活が立ち行かず、生活習慣が乱れてしまうようであれば、やはり専門家に診てもらうことが必要です。体が動かないということは、体がなんらかの助けを求めているため。自分だけで解決しようとせずに早めに受診しましょう。

 

※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。

 

 

ウーマンカレンダー編集室ではアンチエイジングやダイエットなどオトナ女子の心と体の不調を解決する記事を配信中。ぜひチェックしてハッピーな毎日になりますように!


取材・文/アキモトスズ

ベビーカレンダー記事制作の取り組み
  • \ この記事にいいね!しよう /
    シェアする

    • コメントがありません

  • 気になる記事をまとめ読み

    人気連載

    新着連載

    連載完結

    もっと見る

    注目記事を探す

    人気記事ランキング

    アクセスランキング
    コメントランキング

    お得な無料キャンペーン

    医療の新着記事

  • PICKUP

    ベビカレアプリ
    新コーナー!

    ✨今すぐ✨
    チェック →