モンスター社員に振り回される日々
この日は転職先での初出社日でした。私が配属部署で挨拶をすると皆さんあたたかく迎えてくれたのですが、「リコ」という女性の先輩だけは「中途社員なんて入れたの?! まだ無駄な経費がかかる……」と、ムスッとしていました。
挨拶を終えると、先輩が私のところまでやってきて「今後、私にやさしくされたいのなら、この会社にしっかりと貢献すること。足を引っ張るようなら、あの人に言って辞めさせてもらうから」と言います。「あの人」というの気になりましたが、私は黙って彼女の話を聞いていました。
それから、先輩と一緒に仕事をしていくうちに彼女がとにかく口うるさく、経費削減に情熱を燃やしていることがわかりました。例えば、コピー機は使うたびにコンセントを抜くように指示され、少し席を離れるときはいちいちパソコンの電源を抜くことを強いられます。
先輩に何も言えないワケとは?
先輩は「待機電力がもったいない! 会社の経費を無駄づかいしないで!」と言いますが、正直なところ非効率的な経費削減対策を強いられ、社員はみんな困っていました。けれど、社員たちは先輩に苦言を呈することはなく、ただひたすら我慢しています。部長ですら先輩に何も言えない雰囲気です。
あるとき、1人の同僚とランチに行った際、私は社員たちが先輩の言いなりになっている理由を聞きました。それは「先輩は社長の婚約者らしいから、誰も反論できない」ということで……。
そこで、先輩が自ら「自分は社長の婚約者だ」言いまわっていることを知った私。彼女に反論すると、社長に告げ口をされてしまうことが怖くて、社員たちは誰も何も言えない状況になっていることがわかりました。
度を超えたやり方にもう限界!
その状況が続き、季節は夏になりました。気温が急に上がり、出勤するだけで体力を奪われるような猛暑日が続いています。朝礼では、社長から熱中症に気をつけるように話がありました。
しかし、先輩は「部屋を冷やしたら経費がかかる」と言って、エアコンの温度を高めに設定します。そのため、部署内はつねに蒸し暑い状態でした。
あるとき先輩が外出していて不在にしていたことがありました。その日は、あまりの暑さで仕事に集中できないため、主任がエアコンの温度を下げることに。一気に快適な温度になり、社員たちも「仕事が捗る」と喜びます。
数時間後、先輩が外出先から帰ってくると「この部屋涼しいじゃない! いったい何度に設定しているの?!」と文句を言い始めました。そして、エアコンを切ってしまったのです。
ある人物がやってきて…
「このままでは社員たちが熱中症になってしまう」と危険を感じた部長が先輩にエアコンをつけるように説得します。しかし、先輩は「せっかく部長にまでなったんですよね? ここで仕事を失ったら、いろいろ大変ですよ〜」と脅しをかけたのです。
するとそこに、社長がやってきました。社長の顔を見た瞬間、コロッと態度を変えた先輩。「社長♡ 私、経費削減をして会社のお金を守るために頑張っているんですよ。今だってエアコンの温度を上げたばかりで……」と言い始めます。
しかし、社長は先輩のことをにらみつけ「こんなに暑い日にエアコンを切るなんて君は何を考えているんだ。大事な社員が倒れたらどうするんだ?!」と激怒。
先輩は社長の剣幕に驚き慌てはじめ、「ご……ごめんなさい! 私はあなたのためにやったんですよ。まさか婚約破棄なんて言いませんよね?」と尋ねました。その問いに対し社長は「婚約破棄? そんなことをするわけがないだろう」と言います。
続けて社長は「だいたい僕の婚約は君には関係のないことだろう」と言い、社員たちはびっくり。部長が「リコさんは社長の婚約者だと聞いていますが……」と言うと、社長はポカンとしていました。
明らかになった事実
社長いわく、婚約者はまったく別の人でした。どうやら先輩は社長夫人への憧れが強すぎて、いつの間にか「自分は社長夫人だ」と思い込んでいたようです。
思い込みだけで、ほかの社員たちをコントロールしていたというのは驚きですが、不思議と先輩にはそう信じ込ませるような力があったのだと思います。
その後、たくさんの社員たちからこれまで我慢していた先輩に対しての苦情が殺到。先輩は別の部署へと異動が決まりましたが、噂は一気に広まり居心地が悪くなったのか、数カ月後には退職してしまいました。
転職して早々に、モンスター社員によるトラブルに見舞われましたが、今は平和に仕事ができています。これからキャリアアップも目指しながら頑張りたいです。
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