夢追い人で無職の彼
お付き合いを始めたころの彼は無職でした。私は特に気にしていなかったのですが、彼自身は無職であることをとても気にしていたように思います。「俺が無職だったらお義母さん気にするよね?」「将来はちゃんと稼ぐから!」などと、彼の口からお金に関する発言がよく出ていたからです。
私も母も、ちゃんと目標があって進んでいるのだから今は無職でも仕方ないと思っていて、彼にもそう伝えていました。ただ、彼自身は相当気にしていたよう。
彼が無職であることを気にしていたのには、彼のお父さんの存在が大きく影響していました。彼のお父さんは、定職に就かないまま夢を追いかける彼に対し、苦言を呈すことがしばしばあったそうなのです。
私の存在が隠されていた理由は…
彼のお父さんがあれこれ言ってくるのは、おそらく息子の将来を案じての行動なのだと思います。
しかし、彼自身は恋人がいるとお父さんにバレたら「これからどうやって相手を養っていくんだ?」などと、お父さんからまたくどくどと説教されると思ったよう。それを危惧し、彼はお父さんに私の存在をずっと伏せていたようなのです。ちなみに彼曰く、お母さんにはすでに恋人がいることを伝えていたそう。
結婚を見据えてのお付き合いなので、いつか彼のお父さんに会うときがくる。そう考えると、このままでいいのかな……と不安になりました。ただ、彼とお父さんの関係性に私があまり口を出すべきではないと思ったので、「お父さんに私のことを話してよ」と彼に無理強いすることはせず、そのまま交際を続けていました。
いざ結婚報告へ!
そしてある日、いよいよ両家に結婚報告に行くことに。私の存在を初めて知った彼のお父さんは「いつから付き合ってたんだ」などと、やはり驚いた反応でした。
私は彼からお父さんとの関係性を聞いていたこともあり、「性格が難しい方なのだろうか」とかなり緊張していました。しかし、彼のお父さんは意外にも「お互いがそうしたいのなら」とすんなり結婚を快諾してくれ、今後は彼の夢を応援するとも言ってくれたのです。
ちょうどこのとき、彼の夢が形になり始めていたことが大きかったのかもしれません。仕事も家庭も手に入れてようやく地に足をつけた息子に、お父さんはホッとしたようです。
交際を隠されていると知ったときには少し寂しさもありましたが、彼を信じてよかったと思っています。今では定期的にお互いの親に会い、ちょうどよい距離感で過ごすことができています。
著者/松 茉莉花
イラスト/sawawa
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