笑顔で握手…のはずが?
緊張しながら初めて出社した日のことです。緊張していた私に女性の先輩が明るく「新人、よろしくな」と言って手を差し出してくれました。私はうれしくて「よろしくお願いします」とその手を握ると……硬くて冷たい感触がありびっくり! その瞬間、先輩はニヤッとして腕を引っ込めました。すると私の手の中に、手首から先だけが残されたのです。
「きゃぁぁ!」と驚いて思わず手を放すと、床にゴツンと転がったのはマネキンの手。すると先輩がうれしそうに「ひっかかったぁ♪ ドッキリ大成功~」と言いました。
後から知ったのですが、先輩はイタズラ好きで有名だそうで、あらゆる場面でこのようなドッキリを仕掛けるのだとか。まさか職場で、しかも初日にこんなイタズラをされるとは思ってもいなかったので私は衝撃を受けました。それでもこのときは、「きっと新人の私を和ませるためだろう」と好意的に考えていたのです。
小学生レベルのイタズラを連発!
その後、デスクの引き出しから鬼の面が出てきたり、休憩室のお茶が超苦いセンブリ茶に替わっていたり、課長の椅子に音が鳴るクッションが置かれていたり……。先輩のイタズラはひどくなる一方です。部署のみんなは反応しないよう努めていますが、いつ仕掛けられるかわからず落ち着きません。
ある日、見かねた課長が「仕事に集中しろ!」と激怒。すると、後日先輩がめずらしく「すみません。お詫びに差し入れを持ってきました」としおらしい態度になり、まず私に箱が差し出されました。
私が「ありがとうございます」と箱を開けると、なんと勢いよく何かが中から飛び出してきたのです! 私は驚いて背後にあった棚に激突。尻もちをついたうえにホコリと書類が降ってきて、散々な目にあいました。
課長が「やりすぎだ!」といさめると、先輩は悪びれることなく「そんな怒っちゃって(笑) 冗談が通じないから課長止まりなんですよ」と暴言を吐く始末。そして私を見てニヤニヤしながら「びっくり箱くらいで大げさなんだよ」と言い放ちました。
ある作戦を思いつき…
先輩のイタズラが今後も続いたらいつか事故に発展する、と危機感を募らせた私はあることを思いつきました。ホコリを払いながら私はこう言ってみました。
「先輩、ドッキリの天才ですね! そのセンス、もっといろいろな人に見せたらいいのに」
すると課長も私の意図に気づいたのか、「確かにそうだなぁ。君のイタズラには困っていたけど、逆に才能なのかもしれない。その才能がいつかどこかに認められるのかもな」と言います。
すると先輩は満面の笑みを浮かべ「あ、そういえば今度社長が来るって言ってましたよね。こうなったら社長にもドッキリを仕掛けちゃおうかなぁ♪」と言い始めました。
ドッキリ好きの社長?
それから数日後、社長の部署訪問日を迎えました。先輩はこの日を待ち遠しく思っており、何やら念入りに準備をしていたようです。
そして社長がやってくると当時に、パーンとクラッカーがさく裂。よろめいた社長がデスクに手をつくと、そこには大量の虫のおもちゃが! ぎゃーと叫ぶ社長に先輩は「大丈夫ですか~?」と麦茶を差し出します。するとひと口飲んだ社長が「ぶふぁ! 麵つゆじゃないか!」と怒りをにじませます。
「どうです、私のドッキリ♪」と胸を張る先輩に向かって、社長は「君がみんなを困らせている社員か……」とつぶやきました。そして全員の前で「前から、仕事中にドッキリを仕掛ける社員に困っているという苦情がたくさんきていた。今日は状況を確認しにきたんだ。君の処分については追って連絡する」と宣言したのです。
半泣きになった先輩は「でも、みんな私にはイタズラの才能があるって……」と弁明し始めると、社長は「人を不用意に驚かせるのは才能ではない! しかも同僚を危険にさらすようなことまでするなんて言語道断!」と一喝。
先輩は私たちに助けを求める視線を送ってきましたが、普段先輩の行動に困っていた私たちはスルー。その後、会社に居づらくなったのか先輩は自ら退職。ようやく職場に平和が訪れ、仕事に集中できるようになりました。
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