326さんといえば、19(ジューク)のメンバーとして作詞やビジュアルプロデュースを手がけていたことで知られています。脱退後も、イラストレーターや絵本作家など、マルチな才能を発揮し、活動をしていましたが、その傍ら、難病で苦しむ子どもたちや、最愛のわが子を亡くした遺族を支援する活動を積極的におこなっていました。
亡くなってしまったわが子の似顔絵
天国のお子様の似顔絵を描いてプレゼントをする活動は、326さんの支援活動のひとつです。活動を始めるきっかけとなったのは1通のメール。そこには「亡くなってしまったわが子が成長した姿を想像で描いてほしい」という依頼が書かれていたそうです。
もちろん326さんにとっても、初めての依頼。とても悩みながらも、時間をかけて似顔絵を完成させたとのことでした。それ以来、326さんのこの活動はSNSを通じて広がり、今でもたくさんの依頼があるようです。
この似顔絵を描いたことをきっかけに、326さんはグリーフケアに関心を持つようになったそう。グリーフケアとは、死別した悲しみを抱える遺族をサポートすることを言います。326さんは、遺族の思いに寄り添い、悲しみから立ち直るためのケアの一環として、似顔絵を贈り続けているようです。
『あなたがのこしてくれたもの』
326さんがグリーフケアを始めたきっかけは、著書『あなたがのこしてくれたもの』の中でも紹介されています。この絵本を出版する際には「天使と天使ママの声から生まれた愛溢れるグリーフケアブックを作る」と題し、クラウドファンディングで資金を集めていました。集まった支援金は、実に667,700円にも上ります。目標金額を大きく上回り、『あなたがのこしてくれたもの』は出版されました。
この絵本は、愛するわが子や大切な家族を亡くした人から寄せられたエピソードをもとに、326さんがイラストと言葉を描いた「グリーフケアブック」です。
Amazonのレビューには、この本に助けられた人、意識が変わった人の声がたくさん集まっていました。
「かわいいイラストと素敵な詩に救われ、多くの方の体験談に涙しました」
「大切なひとの死を受け自分はどういきるのか? そんなことを考えさせられる素晴らしい本でした」
「326さんの言葉が、わが子からのメッセージに聞こえることもあります」
『あなたがのこしてくれたもの』には、かつて在った命はもちろん、今ある命や愛をもっと大切に思えるようにという326さんの気持ちが込められているそうです。
当たり前ではない幸せ
326さんは、『あなたがのこしてくれたもの』の出版にあたり、「悲しいエピソードを知って同情してもらったり泣いてもらったりすることが目的ではない」と伝えていました。
しかし、326さんの活動を通して、小さな命がこの世に生まれ育まれていくことがどれだけ奇跡的なことであるかを再確認することができたのではないでしょうか。そして、わが子だけでなく親や家族、大切な友だち……今、目の前にある命の尊さを考え、大切にしようと思える一助になると信じています。
この326さんの活動が多くの人に知られ、多くの命が大切に育まれるきっかけとなるよう願っています。