絶対に乗りたがらない夫
結婚して子どもが産まれると、保育園の送迎や通院など、車が必要だと感じることが増えていきました。私は免許を持っていたので夫に車の購入について打診すると、夫から「俺は車が大嫌いだ。絶対に必要なわけでもないし、どうしても欲しいならお前の稼ぎで買え」と言われたのです。
どうしてそこまで言うのか気になりましたが、やはり車が必要で私の収入で購入することに。その後、夫に車でのおでかけを提案したことがあります。すると夫は不機嫌になり「俺は車が嫌いだと言っただろ。乗るのも嫌だから、行きたいならお前たちだけで行け」と言い出しました。
一緒に行こうと説得しますが、夫は意見を曲げず「どうしても一緒に行きたいなら、俺は電車で行くから現地集合で」と言う始末。なぜ、そこまで車を嫌がるのか理由も教えてもらえず、そのときは仕方なく電車で行くことになりました。
父が病に倒れ…
そんな夫が初めて車に同乗してくれたことがあります。それは、私の父が脳梗塞で倒れたと知らせが届いたときです。いつ何があってもおかしくないと言われましたが、すでに深夜で電車は走っていません。
もう車で行く手段しかなく、私が1人で向かおうとすると夫が「1人だけで行かせるなんて心配でできない。家族みんなですぐに向かおう。俺ももちろん一緒に行く」と言ってくれたのです。幸い、父は一命を取り留め、後遺症も軽く済みました。
夫が車を嫌がる理由
少し状況が落ち着いたころ、夫がなぜ車を拒絶するのか打ち明けてくれました。どうやら免許を取ろうとしたことはあるようでしたが、教習所で事故を起こした経験からトラウマになり運転を諦めたのだとか。
「恥ずかしくて、自分は運転が向いていないと言えなかった」と教えてくれた夫。夫の気持ちはつゆとも知らずに、「どうして免許を取らないの?!」「なぜ乗らないの?」と無神経な言葉を投げかけていたことを私は反省しました。
その後も夫は免許を取ることはありませんでしたが、今は助手席には乗ってくれるようになりました。はじめは、ただ拒絶されるばかりで夫に対して憤りの気持ちも抱いていましたが、夫が気持ちを打ち明けてくれて良かったです。夫婦間でも言わなければわからないことがたくさんあると実感した出来事でした。
著者/高井かおる
イラスト/Ru
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