物語の主人公は、フミくんという夫をもつアヤさん。優しくて頼りがいがあって人当たりもよく、周囲にすこぶる評判のいい夫ですが、彼は自分本位な正論を振りかざし、人を追い詰める人だったのです。
それは妻・アヤさんに対してだけではなく、会社でも行っていました。初めて有給を申請してきた部下に対して「俺は入社半年では取らなかったなぁ」「早く出世した人間は誰より多く働いている」と忠告したうえで、「休みたければ休め」「好きなほうを選べ」と伝えたのです。
部下からの有給申請に正論論破した夫。見ていた上司が…
部下は結局初めての有給申請を取り下げました。しかし、これは彼の意志というよりも、フミくんが正論で追い詰めてそうさせたも同然でした。そして、それを見ていた上司がフミくんに忠告をしましたが「自分は正論を言っただけ」「部下に嫌われたくないから、綺麗ごとを言っているように聞こえる」と、上司に歯向かったのです。そして、「正論を言っていたとしても、相手に寄り添わなければ届かないぞ」とアヤさんと同じことを言われたのでした。
そう、アヤさんや上司が言うように、彼の「正論」は相手への気配りや思いやりがたりないですよね。だから、いくら「正論」を振りかざしても、相手の心にはちゃんと届かず、嫌な思いやモヤモヤだけが残ってしまう……。これでは、たとえ相手のことを思っての発言だったとしても、相手には届きませんね。