「何これ?」右の脇に違和感を覚える
友人が35歳のときに経験した話です。いつものように夜ベッドに入り、寝ようとしていた友人。あお向けの状態から右に寝返りを打った際、右の脇のあたりに何かがあるような違和感を覚えたそうです。
「なんだろう……?」と気になった友人は起き上がり、左手で表面を軽く触って確認してみました。すると脇と胸の境目のあたりに5mmほどのぷくっとしたできものがあることに気付きます。「何これ……」と今までなかったできものに一瞬不安になる友人。
しかし、友人は小さいころから肌が弱く、あせもやニキビなど常日ごろから肌トラブルを抱えていたため、肌のトラブルには少し慣れていました。脇の下に少し違和感はあるものの痛みなど他に気になる症状はありません。できものが小さかったこともあり、友人は「ただの吹き出物かな……?」と一度触っただけでしっかりと確認せず、そのときは重く考えなかったようです。
少しずつ大きくなり痛みが出てきた
「数日で良くなるだろう」と思っていたものの違和感は消えることなく、服の上から無意識に脇のあたりを触っていた友人。脇あたりのできものに気付いてから1週間ほどたったある日、お風呂の際にその部分を詳しく確認してみることに。
腕を上げて確認すると、見た目は特に異常なく、そこにできものがあるとはわからないほど目立ちません。しかし、腕を下ろしてできものをつまんでみたところ、皮膚の奥まで丸いしこりがしっかりとあることに気付いたのです。さらに最初に触ったときと比べると表面の大きさが明らかに大きくなっていて、少し痛みも感じるように。
弾力のあるこりっとした感触に「これはただの吹き出物じゃない……!」と悟った友人。しこりがある場所も乳房に近いことから「年齢も年齢だし、もしかしたら乳がんかも……」と嫌な予感がします。友人は家族に相談し、すぐに病院を受診することを決めたそう。
病院で下された診断とは……?
総合病院に予約の電話をした友人。乳腺外科は毎日診療しているわけではなかったため、症状などを伝え、とりあえず皮膚科で診てもらうことになりました。その後、検査が必要であれば乳腺外科を予約しましょうという流れに。
そして予約してから3日後、いよいよ皮膚科受診の日。ドキドキしていた友人ですが、しこりの状態を確認した皮膚科の医師は軽い口調で「これは粉瘤(ふんりゅう)という良性の腫瘍だね。今日これから手術で取ることができるけど、どうする?」と。
「え!? 粉瘤? 今から手術!?」と思わぬ展開に戸惑う友人。粉瘤とは、本来皮膚から落ちるはずだった角質や皮脂などの老廃物がたまってできた腫瘍のことだそうです。乳がんではなかったんだとほっとしたのと同時に、意外な診断結果に驚きを隠せなかった友人。医師の説明では、放置すると炎症がひどくなったり、破裂して膿が広がり症状が悪化したりすることもあるそうで、戸惑いながらも友人はそのまま手術を受けることにしました。
手術は15分とあっという間に終わり、局所麻酔をしたので痛みも感じなかったとのこと。医師は術後に、取り出した腫瘍を友人に見せ、「良性だと思うけど、念のため腫瘍を検査に出すね」といいました。後日病院に検査結果を確認したところ、良性の粉瘤で間違いなかったと聞き、友人は心から安心したそうです。
まとめ
乳がんかも…… と思い不安な日々を過ごした友人。結果、命に関わるような病気ではなく、簡単な手術で治りました。麻酔が切れた後は痛みがあったようですが、傷痕も小さく数日で痛みも消えたそうです。医師によると、粉瘤ができやすい体質の人もいるそうですが、幸い友人は2年たった今でも再発せず、別のところにもできていないとのこと。
しかし、良性の腫瘍とはいえ、放置するのはよくない粉瘤。できものができたからといって、すぐに病院受診をする人は少ないかもしれませんが、今回の友人の体験談を聞き、体に違和感があった際は早めに病院を受診するのが大切だと再認識しました。
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※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
イラスト/おんたま
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